日本代表OBが持論、カナダ戦で「謎の1つ」だった采配は? 「自分が監督なら起用をためらうかもしれない」
【専門家の目|金田喜稔】GK権田がフル出場「シュミットを途中から使っても良かった」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランク24位)は11月17日、UAEのドバイでカナダ代表(同43位)と国際親善試合を実施。カタール・ワールドカップ(W杯)に向けた最後のテストマッチで1-2と敗戦した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、GK権田修一(清水エスパルス)について「不安要素がある」「自分が監督なら起用をためらうかもしれない」と持論を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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カタールW杯に向けて、権田、川島永嗣(ストラスブール)、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)と3人のGKが招集されている。
カナダ戦では権田が先発フル出場を果たしたなか、金田氏は「本来は、さまざまなケースも踏まえて、カナダ戦でシュミットも試したかった。GKに関する采配はカナダ戦の謎の1つ。カナダ戦やこれまでの起用法を見ても、W杯本番で権田のスタメン起用を考えていて、任せる気なのは分かる。ただ大会に向けた最後の実戦だったので、シュミットを途中から使っても良かったのではないかと思う」と言及した。
金田氏は「そもそも権田に関して言うと不安要素がある」と語り、所属クラブでの今季パフォーマンスに注目。「清水エスパルスが今季J1リーグ17位でJ2に降格したが、失点も多く敗戦を重ねていたなかで、どうしても失点癖・負け癖が付いてしまっているのではないかということ」と懸念ポイントを挙げている。
「もちろん、苦戦したのは清水が抱えていたチームとしての問題でもあるが、敗戦や失点が続くと、GKとしては“乗っている”という状態になりづらく、メンタル面にも少なからず影響を及ぼすと思う。最後の最後で、研ぎ澄まされた反射神経、神がかり的なビッグセーブが出るような状態ではないのではないか。今季全体の流れを考えると、自分が監督なら起用をためらうかもしれない」
その一方で「権田自身は本大会に向けてすでに気持ちを切り替えているかもしれない。もちろん日本代表の守護神だから頑張ってほしいと心から思うし、応援したい」と、最後はエールを送っていた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。