W杯で鍵を握る? FW上田綺世、ベルギーで好調も…代表への適応に言及「同じようにできるとは思っていない」
クラブのリーグ戦6試合で5得点と好調も、代表ではまだ無得点
2022年7月、J1鹿島アントラーズからベルギー1部セルクル・ブルージュへ完全移籍した日本代表FW上田綺世は、直近のリーグ戦6試合で5得点を挙げる好調な状態で森保ジャパンに合流した。まだ日本代表出場10試合で無得点の上田だが、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)が選外となったこともあり、W杯では日本の得点源となることも期待される。
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夏のベルギー行きについて「もともとW杯を見据えた移籍をしたつもりはない」と説明し、「W杯に入れたのは、数字的に自分が結果を残せたこともあるし、正解にできたのではないかと思う」と、結果を残してきた自負を口にした。
そして、Jリーグとベルギーリーグのスタイルの違いが、自身のプレーに与えた影響について口にした。
「サッカーの文化が、自分が想像していた以上に違っていました。(FWが)守備をする、しないということもあるんですが、Jリーグは多くのチームがより長くボールを保持して、ゆっくりゴールに迫る。試合中のマイボールの時間をより長くすることがいいとされて、より楽に勝つことが、いいとされていると思う。でも、僕のチームでは全然違くて、相手からより早くボールを奪って、より早くゴールに迫る。その回数を増やす。だから攻守一体というか、守備も攻撃の1つだし、攻撃も守備の1つ。どちらもできないと、戦術的にフィットできない」
以前からゴールのパターンを増やしたいと話していた上田だが、ベルギーでは逆の現象が起きているという。
「高い強度のなかで、選択肢を増やすというよりは、どちらかというと上のレベルに行ったので、減ってくる感覚の方が多い。そのなかで、自分に何ができて、何ができないかを知る段階が1つありました。そこから自分のある武器をどう表現するか。それがチームメートとマッチしたときに、どうやったら点を取れるかを、今考えながら少しずつやっている。ゴールの幅が増えたというより、自分が今、持っているもののなかでやりながら、今の強度、サッカーのスタイル、チームの状況を見ながら、増やしたり、自分で選んでやっているような段階です」
今回、森保一監督が最初に発表した26人のなかで、FWは3人しかいなかった。上田以外に選ばれたFW浅野拓磨(ボーフム/ドイツ1部)とFW前田大然(セルティック/スコットランド1部)は、スピードを武器とするタイプ。ポストプレーヤータイプは、上田のみだった。9月のアメリカ戦(2-0)で見せた、前からプレッシングをかけていく戦い方を選択する可能性は高いように思える。
そのやり方にフィットするためにも、ベルギーで身に着けたプレースタイルは生きるようにも思える。だが、上田は慎重だ。W杯を戦う日本代表に、どれくらい還元できるかと問われた上田は、「それはわからない」と答え、その理由を挙げていった。
「相手のレベルも違えば、気候も違えば、チームメートも違うので。ベルギーで調子がいいから、こっちでも同じようにできるとは思っていない。そこは1つ違うチームに入る、違うポジションをやるということで、まったく別のもの。ただその強度でやってきたことで、自分のコンディションも良かったり、その強度で出せるパフォーマンスは少なからず日本にいた時より引きあがっている。そのなかで、自分の特徴をチームの戦術に乗せられたらいいのかなと思います」
世界的にも、日本代表でゴールを挙げていないストライカーが、経験のある大迫やスコットランドでゴールを量産しているFW古橋亨梧(セルティック/今回選出外)を抑えてメンバー入りしたことは、不思議に思われている。森保監督の選択が正しかったことを証明できるかは、上田にかかっている。
「相手の対策とかいろいろあると思うので、チームとして準備をしながら自分なりにどうしていくかのイメージをしていきたい」と、決意を語った24歳のストライカーが、所属クラブと同じようにゴールを挙げることができれば、日本は初のベスト8進出という目標に近づくはずだ。
(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)