「年齢の近い選手、一緒にやってきた選手と」 阿部勇樹が引退試合の“人選”に込めた想い
多彩なセカンドキャリアもアテネ五輪世代の特徴
そうした絆もまた感じさせるこの日の引退試合では、前半に闘莉王が2ゴールで盛り上げ、後半は那須、鈴木、阿部のトライアングルでボールを動かす姿があった。松井や山瀬といった現役選手だけでなく、すでに引退している選手たちも確かな技術を見せた。後半に出場した槙野が「引退試合でこんなにきちんとサッカーをして、強度のある試合になっているのは記憶にない」と舌を巻くほどだった。実直な「アテネ五輪世代」を象徴するような空間だった。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
阿部は「実際にボールを蹴っているといろいろな思い出が蘇ってきた。青いユニフォームを着た前半は代表の時のことを思い出し、レッズの赤いユニフォームを着た後半は、長く一緒にレッズで闘ってきたメンバーとのプレーだったので本当に懐かしかった。『ああ、こういったプレーをしていたな』とか『まだまだやれるのに』と思う選手もいたし、やりながらすごく楽しい思いをさせていただきました」と笑顔でこの日の空間を振り返った。
YouTuberや経営者、クラブのアンバサダー、市議会議員とセカンドキャリアの多彩さもこの世代の特徴かもしれない。その中で、16歳でのJリーグデビューから世代のトップランナーとして走り続けた阿部はすでに第2のサッカー人生を指導者として過ごし、今季から浦和ユースのコーチを務めている。形は違えど、これからも日本サッカー界に力を与える世代になっていくはずだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)
page1 page2