「ミトマをベタ褒めしたよ」 ブライトン三笘に大喝采、サッカー発祥国で異例の注目度…英国での“リアル評”とは
英国の国民的番組まで三笘を特集 “ご意見番”からも賛辞が
続く11月4日に行われたウォルバーハンプトン戦。この試合の活躍で三笘はブライトンの先発レギュラーの地位を掴み、プレミアで最も注目される若手アタッカーの1人になった。
なんとこの試合でブライトンが奪った3得点すべてに絡んだのだ。秀逸な右足を持つ三笘のプレミア初ゴールとなった2点目がヘディングだったのは意外なものの、英国メディアは「パワフル・ヘッダー」と称賛。フィジカルが弱いと思われていた日本人選手が相手DFネルソン・セメドを競り落として頭を合わせたゴールに目を見張った。
先制点も3点目も三笘が左サイドから放ったクロスが起点だった。さらには前半アディショナルタイムに2点目のヘディングで競り負けたセメドが三笘の突進を止めようとしてラグビータックル。これが一発退場につながり、ウォルバーハンプトンを10人に追い込んだ。
確かに地元メディアという甘さもあっただろうが、「サセックス・ワールド」は「相手にとって純粋なる脅威だった」と寸評し、この日の三笘の活躍に10点満点中“10”の採点をして、文句なしのマン・オブ・ザ・マッチに選んだ。
驚きはこれだけでない。この夜、英国の国民的テレビ番組である「マッチ・オブ・ザ・デイ」で三笘が特集されたのだ。
これは、元イングランド代表FWのギャリー・リネカー氏が司会を務めるプレミアリーグのダイジェスト番組。ウォルバーハンプトン戦の主役として三笘が紹介されると、名古屋グランパスでのプレー経験があり、“ご意見番”としての存在でお馴染みのリネカー氏が「We’ll see him in the World Cup playing for Japan(日本代表としてW杯の舞台で彼を見ることになるでしょう)」とコメントしたあとに、なんと「大変素晴らしいサッカーの選手です」と“日本語”で賛辞を送ったのだ。
英国でこうした注目のされ方は日本人選手として異例中の異例だろう。そして冒頭で記したプレミア対決となったアーセナルとのリーグ杯第3回戦の決勝ゴールが続いて、三笘がサッカーの発祥国であっという間にスターになった。
チェルシー、ウォルバーハンプトン、アーセナルと続いたこの3試合に限れば、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)、ジョッタ(リバプール)、またはルイス・ディアス(リバプール)といった綺羅星のような左サイドのアタッカーの中でも、三笘の輝きは決して劣るものではなかった。
今季は不調とはいえ、近年のプレミアで中堅に成長したウォルバーハンプトンを相手に10点満点のパフォーマンスを見せた三笘なら、ドイツやスペインと対戦しても必ず見せ場が作れるはずだ。
11月23日のドイツ戦までには右足も完全な状態となっていることだろう。三笘がカタールのピッチで相手の左サイドを切り裂く瞬間を今から心待ちにして、今回のW杯の希望の星としたい。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。