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【W杯入門】史上初の「冬開催」カタール大会の特徴は? 過去大会と比較、“イレギュラー”なポイントを解説
【コラム】初の中東開催となるW杯は誤魔化しの効かない大会に?
4年に一度行われるサッカーの祭典「ワールドカップ(W杯)」は、中東のカタールを舞台に約1か月間にわたって開催。出場32か国による熱戦の数々に期待が高まるなか、世界中が注目するW杯の知識を蓄えるべく「入門コラム」をお届け。今回は史上初の「冬開催」のカタールW杯の特徴を過去の大会との比較から解説する。
これまでのW杯は基本的に欧州のシーズンが終わった後の6月から7月にかけて行われてきた。北半球なら初夏、南半球なら地域によって冬のW杯になるという違いはあったが、初の中東開催とあってこの時期の開催は現実的ではないという判断になった。その結果として、史上初の11月から12月にかけての開催で行われる。
2006年のドイツW杯から4大会連続優勝している欧州勢はもちろん、ブラジルやアルゼンチンなど南米の強豪国、また日本を含むアジアやアフリカからの出場国にしても、代表チームの主力選手が欧州でプレーする割合が高い。そのため、シーズンを戦い終えて限界まで疲労を溜めた状態でプレーしてきたこれまでのW杯に比べると肉体的にフレッシュなため好プレーへの期待も高まるだろう。逆に日本代表に目を向ければ、春秋制のシーズンのJリーグでプレーする選手たちのコンディションは気がかりだ。
また今回は、大会直前までクラブが選手を拘束できるため、直前合宿で代表チームの戦術を確認しつつ、チームの一体感を醸成していく期間があまりない。日本代表を例にとると、11月17日にカナダ代表とW杯直前で最後の国際親善試合を行うが、13日にリーグ戦が入っているFW伊東純也やMF鎌田大地、MF堂安律といった選手たちは、このゲームが中3日になってしまう。そのような状況が各国の代表チームで発生するため、個々のコンディションではなくチーム全体を見た時に、調整の難易度は過去の大会よりも高いだろう。
約1か月間を戦うW杯では、優勝を争うチームはA組からD組の前半グループに入るほうが有利だという定説があった。基本的に試合はA組から順に消化されていくため、30日間をかけて決勝までの7試合を戦うのか、全体が25日間になるのかというような差が生まれるからだ。しかし今回に関しては、E組からH組の後半グループのほうが大会の開幕までにチームでさまざまな確認や調整を行う数日間を得られるため、有利に働くかもしれない。
過去には直前の監督交代や集中合宿で一気にチームを変化、仕上げてきたパターンが各国で見られてきたが、今回はそうした直前での誤魔化しの効かない中長期的な積み上げが問われるW杯になる可能性が高そうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)