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チェルシーがリバプールに逆転勝利 明晰な頭脳を持つ師弟対決はモウリーニョに軍配
試合を決めたモウリーニョの一手
ここから試合を掌握したのはチェルシーだった。前半のうちにCKから同点に追いついて後半を迎えると、そこからスペシャルワンの采配がさえ渡った。
後半開始9分、ラミレスに代えてMFウィリアンを投入する。チェルシーは前半、リバプールの左サイドバックを務めるDFアルベルト・モレーノの果敢なオーバーラップと、スターリングの突破力に苦しめられていた。そこで、左サイドからの攻撃に重点を置くリバプールに対し、あえてアタッキングに特化したウィリアンをぶつける策を講じたのだ。この交代がモレノの攻め上がりを抑止し、リバプールは攻守ともに左サイドに最大の注意を払うこととなった。
一方で、チェルシーの左サイドに位置していたMFエディン・アザールは、徐々に中央に入る時間を増やしていた。マッチアップしていたリバプール右サイドバックのグレン・ジョンソンがそれに引っ張られるようになる。
互いの意識がチェルシーの右サイドに集まる中、それを見逃さなかった男が大外にいた。後半12分、左サイドバックを務めるスペイン代表DFセサル・アスピリクエタが虚を突いてオーバーラップすると、ボックス内に侵入してクロスを上げた。このこぼれ球をFWジエゴ・コスタが押し込んでチェックメイト。手堅い守備で逃げ切り、勝ち点3を持ち帰ることに成功した。
ロジャーズは、運動量豊富なオスカルがジェラードにマンマークすることを予測した上で、ヘンダーソンとエムレを前線に押し上げる采配を振るった。そのスカウティングによって先制に成功したが、チェルシーの「スペシャル・ワン」はそれを上回る一手で試合を制した。
かつてチェルシーで監督と、アカデミーのコーチという間柄にあり、互いに強い信頼関係で結ばれていた。この日は、かつてのボスに軍配が上がった。だが、確固たる哲学を持つこの2人の師弟対決は、これからも続いていく。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images