浦和レッズの“3年計画”で見えたリアルな姿 リーグVにほど遠き「中位が妥当なチーム」、選手からは戸惑いの声
19年末に打ち出した3年計画の最終年、目標に届かず今季リーグを9位でフィニッシュ
J1浦和レッズは11月5日のリーグ最終節、アビスパ福岡戦を1-1の引き分けで終え、今季の最終順位を9位で終えた。2019年末に打ち出した3年計画の最終年だったが、最優先目標と設定されたリーグ優勝には勝ち点20以上も届かず、今季限りでリカルド・ロドリゲス監督の退任も決まった。
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浦和は3年計画の初年度が大槻毅氏(現ザスパクサツ群馬監督)を前年から続投させる形でスタート。3バックを採用するシーズンが多かったなかでベースを4-4-2に固定し、選手起用にも強度のあるプレーが優先される傾向になった。大槻氏はそのシーズン終盤に「3年計画の最初のところでベースに戻すというか、針をしっかりとゼロに近づける作業は必要だった」とも話していた。
計画2年目の昨季にロドリゲス監督が就任。相手ボール時のベースは4-4-2を引き継ぎながらもマイボールではより立ち位置を意識した攻撃に変わっていった。リーグ戦で成績が突き抜けるには至らず6位だったが、天皇杯は優勝。ロドリゲス監督もJリーグ優秀監督賞を受賞した。
そして集大成の今季はリーグ優勝を最優先目標と設定したが、時期尚早だった感は否めなかった。戦力の充実という点では、指揮官が再三指摘したようにFWキャスパー・ユンカーが昨季終盤のグロインペインから出遅れ、トレーニングキャンプで純粋なFWは高卒ルーキーの木原励のみ。新外国人選手たちは新型コロナウイルスの影響で入国が遅れ、シーズン途中で試合が続いているなかで獲得されて継ぎ接ぎのようになった。
日本人の新加入選手はロドリゲス監督のサッカーを熟知するMF岩尾憲が入ったが、総じてみればポテンシャル重視の獲得。将来性やブレイクの可能性を感じさせる選手たちではあったものの、現時点でJ1優勝を叶えるメンバーなのかと言われれば疑問符が付かざるを得なかっただろう。
シーズン序盤では不用意な退場処分、決定機を生かせない試合が相次いで勝ち点を伸ばせず、4月からはリーグ8試合連続引き分けの時期もあった。攻め急いで突破しきれない場面、ボールを長く持ちながらビッグチャンスを生み出しきれない場面が続いて勝ち切れない。後に指揮官は「もっと早く4-3-3にする形を見つけていれば」と悔やむが、オフに行った選手編成と指揮官の得意な戦術がミスマッチしている部分は、選手たちからも戸惑いとともに指摘する声が上がるようになっていた。