J1優勝の横浜FMに見た団結力 宮市亮のシャーレアップにつながった“フォア・ザ・チーム”の姿勢

チームを鼓舞する宮市亮【写真:徳原隆元】
チームを鼓舞する宮市亮【写真:徳原隆元】

横浜FMから感じた集団としての団結力 象徴的だった宮市亮のシャーレアップ

 ピッチに立つ選手だけでなく、ベンチスタートとなった選手たちと、メンバー全員が目標に向かって団結した集団はやはり強い。カメラのファインダーを通して見る横浜FMの選手たちには、勝利への意識を共有していない反動的な思いなどまったくなく、集団としての団結力が強く感じられた。そして選手たちの目標に向かって突き進む思いはリーグ優勝をもって結実する。

 彼らの団結は表彰式の際にキャプテンの喜田拓也に続き、負傷離脱中の宮市亮にシャーレアップを促す仲間たちの姿に表れていた。しかし、この団結を象徴する場面となった宮市に対する仲間たちの心遣いは、実は宮市自身の行動によって生まれたのではないかと思う。

 3-1のリードで迎えた終盤、横浜FMのベンチ外の選手とスタッフたちが優勝の喜びをともに体感しようとピッチへと出てきた。プレー時間が刻々と過ぎていき、3年ぶりのリーグ制覇が現実的になっていく。

 そのなかに味方の好プレーに拍手と声援を送り、笑顔を見せる宮市の姿があった。ファインダーに写るこの横浜の17番の笑顔に目が留まりシャッターを切る。

 宮市の視線に立って考えれば、リーグ制覇を目指すチームの一員としてピッチに立てない自分に、もどかしさを感じることもあったかもしれない。なにより大事なリーグ終盤で、活躍する仲間たちの輪に加わることができなかったのだから、悔しさの欠片が心の片隅にあっても不思議ではない。

 しかし、ピッチで躍動する選手たちへ、素直に声援を送れる宮市のフォア・ザ・チームの思いを仲間たちは知っていた。だからこそ、彼にシャーレアップを促したのではないだろうか。

 試合後、サポーターとともに優勝の喜びを分かち合う横浜FMの選手とスタッフたち。カメラのレンズを向けた誰もがすがすがしい表情にあふれていた。

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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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