賛否のW杯メンバー選考、森保監督は「苦悩だらけだったと思う」 金田喜稔が同情「一番辛い仕事」…指揮官の“図太さ”に期待

苦悩を突き抜けて、史上初のベスト8進出を目指す本大会モードへ

 過去の日本代表チームも同じ道を辿ったが、アジア予選では日本が主導権を握って戦うスタイルを貫けても、強国揃いのW杯で同じように戦うのは難しい。言い換えると、スタイルの転換が必要なわけで、歴代の日本代表チームもこのジレンマに悩まされてきた。同じチーム内でダブルスタンダードを強いられるようなものだ。

 もちろん「アジア予選と同じように戦えばいいじゃないか」という意見もあるだろう。だが、W杯で勝ち進もうと考えた時、また彼我の戦力を考慮した時、対アジアと対世界でスタイルを多少なりとも変えざるを得ないのが今の日本代表の立場であり、実情だ。歴代の日本代表チームも、W杯で同じように決断を迫られた。森保監督も今回、対世界を見据えて割り切り、プレッシングサッカーを軸にしたメンバー選考だったように思う。

 ただこれは森保監督の良さでもあるが、一種の図太さも兼ね備えている。メンバー選考で悩み、発表後にはさまざまな意見を目にしているかもしれない。だが、ちょっとやそっとの重圧や批判でへこたれるようなメンタリティーの持ち主ではない。そうでなければ4年間も代表チームを率いることなどできないだろう。

 メンバー発表会見で、森保監督は「新しい景色を一緒に喜べたら」と言っていたが、すでに苦悩を突き抜けて、史上初のベスト8進出を目指す本大会モードへ切り替えているはずだ。彼の一種の図太さは、ここからW杯に向けてさらに発揮されるのではないかと思う。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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