「え、なんで?」 大迫、古橋、原口らW杯メンバー落選分析…“放棄したサッカー”とは? 金田喜稔が「理解できる」と語る訳
【専門家の目|金田喜稔】26人選考に「森保監督の割り切り、戦い方が透けて見える」
森保一監督率いる日本代表が11月1日、同月20日に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)の大会登録メンバー26人を発表した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、メンバー発表を受けて持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本代表は今月17日午後5時40分(日本時間午後10時40分)にW杯前最後の親善試合となるカナダ代表との一戦を予定。20日にカタール大会が開幕し、23日午後4時(日本時間午後10時)にドイツ代表との第1戦に臨み、同月27日午後1時(日本時間午後7時)にコスタリカ代表、12月1日午後10時(日本時間2日午前4時)にスペイン代表と対戦する。
1日にカタールW杯に向けた日本代表メンバー26人が発表されたなか、金田氏は「振り返れば、9月のアメリカ代表戦(2-0)の時点である程度、現在の骨格となるメンバーは決まっていたと言える」と分析した。
「あのアメリカ戦から、最近のコンディションやパフォーマンスなどを考慮して、メンバーの微調整を行った印象だ。『日本らしいサッカー』を望む声もあるかもしれないが、W杯での勝率を少しでも高めると考えた時、森保監督やコーチングスタッフ陣が行き着いた先が今回発表した26人だったのだろう」
今回の26人のメンバー選考にあたって、ポイントとなるゲームがあったと指摘する。
「転機は9月23日のアメリカ戦だったように思う。ブラジル代表などと対戦した6月の4連戦でさまざまなテストを行い、アメリカ戦では前線からのプレスが機能した。またリードしてからは、前線からのプレスと守備ブロックを形成する局面を使い分けつつ、日本が終始ペースを握っていた。W杯出場国のアメリカに快勝したゲームで、ある程度、W杯の戦い方も定まったのではないかと思っている。高いインテンシティー(プレー強度)と前線からのプレッシングをベースに、選手のタイプや組み合わせ、ポジション別の選手層、コンディションなどを加味したうえで、最終的に選んだのが今回の日本代表メンバー26人というわけだ」
今回発表されたメンバーを見て、指揮官の“割り切り”とスタイルも見えてきたという。
「日本がW杯でも試合の主導権を握り、巧みなビルドアップで相手のプレスを回避し、相手の守備組織を崩し切れるなら、また戦い方も変わってくる。だが今の森保ジャパンを見ると、やはり前線からのプレッシングをベースに高い位置でボールを奪い、相手の守備組織が整っていないなかでショートカウンターというのが1つの生命線。また相手に攻め込まれた時は、球際で激しく寄せるのを大前提に、守備強度を一定に保ちながらカウンターを狙うというスタイルに振り切るのだろう。今回の人選をとおして、森保監督の割り切りや決断、戦い方が透けて見える」
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。