「守備意識が格段に高まった」 日独を知る英雄ブッフバルトが見た日本サッカー界の“進化”
シュツットガルト主将の遠藤航を称賛「完全なリーダーシップを取れる」
――現在ブッフバルトさんが住んでいらっしゃるドイツ・シュツットガルトのクラブ、VfBシュツットガルトには遠藤航が在籍し、チームキャプテンも務めています。また、ブッフバルトさんの現役時代のポジションであるDFも、今の日本代表にはヨーロッパで活躍している選手がいます。
ギド「遠藤航はシュツットガルトで完全なリーダーシップを取れる人間にまで成長した選手です。また今季はボルシアMGでプレーしている板倉滉も、とてもいい選手だと思っています。そして、アーセナル所属の冨安健洋も当然素晴らしいディフェンダーですよね。やはり世界をリードしている5大リーグで活躍している選手は自らの経験を日本代表に伝えることができるので、その点のアドバンテージは間違いなく得られると思います」
――ブッフバルトさんが現役時代に日本でプレーしていた1990年代は日本人ディフェンダーにさまざまな課題があり、彼らがヨーロッパでプレーすることが叶いませんでした。しかし現在は板倉、冨安、吉田といった日本人ディフェンダーがヨーロッパで活躍しています。その要因はどこにあるとお考えでしょうか?
ギド「90年代当時の日本人選手は攻撃面で優れ、特にアジリティーの高さを攻撃に生かせていたように思います。ただ、守備に関しての意識が低かった。一方で、今の日本の選手たちは守備の意識が格段に高まっていて、それが日本代表の強化につながった1つの要因ではないかと思っています。それは、日本の育成の現場の仕事が素晴らしいからではないかと考えています。子供の頃から攻撃だけでなく守備の向上もチームにとって大切であるということを植え付けられることによって、実力のある日本人ディフェンダーたちが数多く輩出されるようになってきたと思っています」
[プロフィール]
ギド・ブッフバルト/1961年1月24日生まれ、西ドイツ出身。シュツットガルト(ドイツ)―浦和―カールスルーエ(ドイツ)。ドイツ代表通算76試合4得点。鉄壁のディフェンスで西ドイツ代表の1990年イタリアW杯制覇に大きく貢献したレジェンド。1994~97年には選手として、2004~06年には監督として浦和に在籍し、06年にはJ1優勝、天皇杯優勝へと導いた。
(島崎英純/Hidezumi Shimazaki)
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。