カタールW杯行きの日本代表DF「序列検証」 “サプライズシステム”を想定した選出も?
【識者コラム】冨安は問答無用のCB一番手 チーム状況次第で右SB起用も視野か
カタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表メンバー26人は、11月1日に正式発表される。センターバック(CB)部門は現在、いい意味で序列を付けるのが難しいポジションになってきている。一番手は問答無用で冨安健洋(アーセナル)だろう。昨夏はアーセナルとの契約手続きのために欠場したW杯アジア最終予選のオマーン戦でいきなり日本が0-1と負けてしまった。
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それでも代表チームに拘束しなかった森保一監督の英断もあって、無事にアーセナルと契約した冨安は、ビッグクラブの右サイドバック(SB)でレギュラーポジションを掴み、さらに個人としてスケールアップした感はある。ただ、シーズン後半戦で怪我に悩まされ、今年6月の代表活動はチームに帯同はしたものの”復帰プログラム”に当てられた。
そうした流れもあってか、プレミアリーグの序盤戦はアーセナルが快進撃を続けたこともあり、終盤の投入に限られていた。しかし、ライバルのマンチェスター・ユナイテッドに敗れて迎えたUEFAヨーロッパリーグ(EL)グループステージ初戦チューリッヒ戦でスタメン起用されて、敵地で2-1の勝利に貢献。リーグ戦に向けても評価を上げるパフォーマンスだった。
冨安に関しては一にも二にも、コンディションを上げさえすれば日本代表でも一番手であるのは間違いない。9月シリーズのアメリカ戦では後半から酒井宏樹(浦和レッズ)に代わり、右SBでも起用されて高水準のプレーを見せた。逆に山根視来(川崎フロンターレ)はエクアドル戦で後手を踏むシーンも目立ち、“対世界”というところで不安を残したことを森保監督がどう判断するか。基本的には山根が酒井に続く右SBの2番手だが、複数ポジションのマルチでもある菅原由勢(AZ)にわずかながら逆転の芽があるか。
左サイドを本職としてきた長友佑都(FC東京)も、6月シリーズのブラジル戦では右サイドでヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)をほぼ完璧に封じ、FC東京では右SBがメインのポジションになっている。ベルギーの橋岡大樹(シント=トロイデン)、ドイツ2部でスタメン出場を続ける室屋成(ハノーファー)もいるが、酒井の状態次第で冨安のSB起用も否定できない。
それには右SBの緊急事態に加えて、2つの理由がある。1つはスペインやドイツが左サイドに強力なアタッカーを備えていることだ。スペインはダニ・オルモ(RBライプツィヒ)を筆頭にアンス・ファティ(FCバルセロナ)などがいる。ドイツもレロイ・ザネ(バイエルン・ミュンヘン)がファーストチョイスで、パワーとテクニックを顕微するカイ・ハフェルツ(チェルシー)がこのポジションに入るオプションもある。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。