G大阪FW鈴木武蔵を待ち受けたベルギーでのいばらの道「衝撃を受けた」 異国の地で必死にもがいて得た収穫とは?

G大阪のFW鈴木武蔵【写真:Getty Images】
G大阪のFW鈴木武蔵【写真:Getty Images】

【独占インタビュー】G大阪に今夏加入の鈴木武蔵はベールスホットで2シーズンプレー

 今、苦境に立たされているJ1ガンバ大阪。今季、片野坂知宏監督の下でスタートしたチームは、現在17位と自動降格圏に沈み、厳しい残留争いを戦っている。必ず逆境に打ち勝つ――。今夏、G大阪の救世主としてベルギー2部ベールスホットから加入した元日本代表FW鈴木武蔵は自身初の海外挑戦の場でどのような経験を積み、新天地へやってきたのだろうか。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞/全2回の2回目)

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 今シーズン、途中加入ながらG大阪の力になるため奮闘を続ける鈴木。原動力になっているのは新しい「挑戦」に対する強い気持ちだ。チームは厳しい残留争いを戦っているが、その諦めない「挑戦」の気持ちを生んだのはベルギーでの経験だった。

 2020年夏、北海道コンサドーレ札幌からベルギー1部ベールスホットへ移籍。鈴木にとっては初めての海外移籍だった。

「札幌にいた時、居心地はすごく良かったし、逆に居心地がいいままでこの先の成長があるのかな、と考えた。『もう一皮むけるためにはタフにならないと』と思った。だから、海外でチャレンジしたいという気持ちが芽生えました」

 初めての海外で待ち受けていたのは、まず自分を出す、ということ。これまで自己主張が得意な性格ではなかった。英語も堪能ではない。当初はチームメイトの言動に衝撃を受けた。

「自己主張しないと(試合に)使われなかったり、自分の特徴が分かってもらえなかったり、印象にも残らないし、自分の意見がないのは向こうではマイナスになる。それが合ってようが間違っていようが、言うということが大事だし、聞く側もまずは受け入れる。初めは難しかった。英語もそこまでできなかったし、でも人としても成長できたかな。みんな自分の意見をすごく持っていた。チームメイトで仲いいヤツがいたけど、そいつは『(新型コロナ禍で)マスクとか意味ない』と。監督に何を言われようと、ミーティング中にマスクしてくれと言われてもしない、と。自分の意見を持っていて、俺はこう思うからマスクしないと言っていた。それが合っているか、間違っているかとかじゃなくて、個人的にこう思うというのを主張していてすごいな、と思った」

 その姿は鈴木にとってカルチャーショックだった。自分自身も「衝撃を受けたからこそ、やらないと」という気持ちを駆り立てられた。

 移籍1年目は加入直後の第3節クラブ・ブルージュ戦(1-0)はベンチ外だったものの翌第4節スタンダール・リエージュ戦(0-3)で途中出場ながらデビュー。第6節シャルルロワ戦(1-3)では初スタメンを務め、初ゴールを決め、出場機会を増やしていった。それでも、ベンチ外メンバーとなった時もある。この時、チームメイトの姿を思い出し、自身の殻を破った。

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