フライブルク堂安律が信頼を勝ち取った背景とは? 監督絶賛「プロフェッショナル」…コミュニケーション能力と移籍の重要ポイント

今季フライブルクで活躍を見せる堂安律【写真:Getty Images】
今季フライブルクで活躍を見せる堂安律【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】新加入組が溶け込める“いい空気感”を醸し出しているフライブルク

 海外のクラブでチームに溶け込むためにはコミュニケーション能力が欠かせないとされている。

 自分から話しかける。チームの雰囲気に溶け込む。プライベートでも一緒の時間を過ごす。

 そうすることで、自分の居場所を作り出し、それがプレーにもポジティブに反映されるというサイクルを求めていく。新加入となる自分から積極的に話しかけ、アクションを取って馴染もうとする動きはやはり大切だろう。

 だからといって、コミュニケーションというのは、加入した立場の選手からしか向けられないものであるべきだろうか。受け入れてもらおうとする動きがあると同時に、受け入れようというチームサイドからの働きかけも非常に重要なはずだ。

 移籍してきた選手がどれだけ溶け込もうと努力しても、チームサイドに排除しようとしたり、小馬鹿にするような雰囲気があったら、チームとして同じ方向を向いて戦うことなどできない。そして残念ながらそうしたチームは現実に存在する。

 チームとして機能しているクラブは、そのあたりの空気感がやはりとてもいい。一例として今季もブンデスリーガで好パフォーマンスを披露しているフライブルクを挙げたい。

 第11節終了時で3位につけているフライブルクで、前線のミヒャエル・グレゴリッチ、ダニエル・コフィ・キレイ、そして日本代表の堂安律という3選手がスタメンで起用されて、チーム戦術にしっかりとはまり機能しているのはとても印象的だ。

 新チーム加入直後は多かれ少なかれ自身のプレーをアピールしようという意識が強くなってしまうものだろう。攻撃的な選手ならなおさらだ。

 得点、アシスト、そこへつながるプレーで周囲からの評価をグッと引き寄せたいと願う。

 そうした意欲がなかったらそれこそ攻撃的な選手として致命的なことだが、だからと言ってその意欲が強くなりすぎて、エゴイスティックなプレーが増えてしまったらチームとして困ってしまう。

 そうした点でフライブルクは自分のプレーを出そうという意欲的なプレーとチーム内で共有しているプレーイメージのバランスが上手く取れていると感じさせる。味方を生かすべきプレー、自身でチャレンジすべきプレーの判断基準が明確だ。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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