カタールW杯メンバーには必要? 英雄ブッフバルトが語る長谷部誠の“若き日”と“今”
シュツットガルト伊藤洋輝のようにドイツ移籍で開花するパターンも
――長谷部本人はすでに日本代表から退くことを公言しているので現実的ではないのですが、今回のカタールW杯メンバーに長谷部が入ったほうがいいというお考えはありますか?
ギド「彼はすでに素晴らしい選手キャリアを積んできました。それは代表チームでもクラブでも。そのうえで、彼自身が代表としてのキャリアを『ここでおしまい』と決めたのであれば、それでいいのではないでしょうか。ただ、代表チームには常に長谷部のような選手が必要だとは思っています。以前、本人と直接話したのですが、彼はドイツで指導者ライセンスを取得したいと言っていました。なので、今の彼は次のステップに向かって集中していると思います。フランクフルトでの現役生活がどの程度続くのかは分かりませんが、今の彼は次のステップに集中しているのですから、その決定は尊重したいと思っています。まあ、今後4、5年経ったら、彼はいい監督になっているのではないでしょうか(笑)」
――ブッフバルトさんから見て、これからブンデスリーガでプレーしてほしい日本人選手はいますか?
ギド「今、ドイツではJリーグの試合をあまり観ることができないのですが、最近U-21日本代表の試合を観る機会がありました。彼らのような年代の選手がドイツでプレーすることは日本サッカーにとってポジティブなことだと思っています。いい例がシュツットガルトの伊藤洋輝です。彼のように、日本でプレーしていた時にあまり目立たなかった選手でも、ドイツに来て、ヨーロッパのリズム、ドイツのリズムに慣れることでどんどん成長できる。日本にはそのような選手がかなりいると思いますので、若い選手にはできるだけ早くドイツへ来ることをお勧めします」
[プロフィール]
ギド・ブッフバルト/1961年1月24日生まれ、西ドイツ出身。シュツットガルト(ドイツ)―浦和―カールスルーエ(ドイツ)。ドイツ代表通算76試合4得点。鉄壁のディフェンスで西ドイツ代表の1990年イタリアW杯制覇に大きく貢献したレジェンド。1994~97年には選手として、2004~06年には監督として浦和に在籍し、06年にはJ1優勝、天皇杯優勝へと導いた。
(島崎英純/Hidezumi Shimazaki)
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。