【識者コラム】静岡ダービーでドロー決着、残り2試合でJ1残留へ辿り着けられるか

　J1残留争いのライバルでもある清水エスパルスとの静岡ダービーで、ジュビロ磐田は前半にセットプレーからFWチアゴ・サンタナにゴールを許したが、後半アディショナルタイムにMF古川陽介のアシストから途中出場のFWジャーメイン良が同点ゴールを決めて、1-1の引き分けで終えた。

　シーズン途中から磐田を指揮する渋谷洋樹監督は「この勝ち点1を意味のあるものにするためにラスト、ガンバ大阪さんと京都サンガさんにしっかり勝ちたい」と語った。

　同点後、逆転のチャンスにシュートを外してしまった古川は試合後に泣き崩れて、悔しさと不甲斐なさを隠さなかったが、最後清水のカウンターに彼が全力で戻り、ペナルティーエリア内で粘り強く死守していなければ、おそらく清水の決勝ゴールが入っていた可能性が極めて高い。

　静岡ダービーという以上に、残留争いのサバイバルとしての意味合いが強い試合だった。それでもお互いが熱くなってしまうシーンもあり、同点ゴールの直前にはFW杉本健勇が清水の MF白崎凌兵のラフなディフェンスに対して激昂。磐田ベンチに対しても佐藤隆治レフェリーが注意に行ったことで、良い流れが止まってしまった時は筆者もこのまま1-0で清水が勝利することを半ば確信していた。

　しかし、清水もちょうど右サイドバックのDF片山瑛一が足をつり、DF原輝綺が入った直後、同サイドからドラマが起きた。左サイドを攻め込んだ磐田は清水OBでもある交代出場のDF松原后が、ペナルティーエリアに突っ込んだところで清水ディフェンスと接触。こぼれたボールを古川が拾い、ラストパスを見事にコントロールしたジャーメイン良が左足で決めた。

　横浜F・マリノス戦の古川に続き、今度はジャーメイン。交代選手が日替わりヒーロー的に結果を出すことで、磐田はギリギリながら残留争いに踏みとどまることになった。「ダービー特有の雰囲気に飲まれている気はしましたけど僕たちのほうが冷静だなと思いながらやっていた」と振り返るのは右サイドのMF鈴木雄斗だ。

「サイドバックの選手に対して勝負しても良かったんですけど、どうしても（立ち位置の）ミスマッチを上手く利用したいなという気持ちがあったので。チャンスのところはもっと仕掛けても良かったかなと思います」

　磐田がボールを握れた後半のプレーについて、そう振り返った鈴木だが、横浜FM戦は自陣に守備を固めてなんとか少ないチャンスにかけるという戦いから勝機を得ただけに、ダービーで特に後半は自分たちからボールをつないでアクションを起こす攻撃を思い出す試合になった。現在、勝ち点29で最下位の磐田は残留争い組の中でも、G大阪、さらに京都に連勝して、勝ち点を35まで伸ばすことが絶対条件になる。