経験者の今野泰幸が明かすザックジャパン崩壊の理由 なぜW杯で「自分たちのサッカー」は破綻したのか?
コートジボワール戦黒星後の選手ミーティングも綻びは止められず
“ザックジャパン”はポゼッション主体のスタイルを「自分たちのサッカー」としていた。しかし、ブラジル大会では、コートジボワール戦の逆転負けも相まって、この言葉が独り歩きしていくことになる。今野も「自分たちを見失ってしまった」と振り返る。
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「ザッケローニ監督の戦術は、しっかりしたビルドアップからサイド攻撃をしながら、最後は中で仕留める攻撃方法です。本大会で日本中を驚かせるような結果を残せるという自信もありましたが、コートジボワール相手にいい戦いをしながら逆転負けをしてしまって、あとがない状況に立った時、自分たちのサッカーじゃなくなったというか、『次は絶対に勝たないといけない』『勝ち点3を取らないといけない』と、少しリスクを冒すようになりました。もともと、ザッケローニ監督のサッカーは攻撃的に行きながら、守備もサイドバックが逆サイドは絞るとか、リスク管理は徹底していました。第2戦のギリシャ戦は前から前からになってしまい、リスク管理がおろそかになって、自分たちのサッカーが少し壊れ始めたところがありました」
“いい緊張感”を超えた過剰なプレッシャーが、“ザックジャパン”を飲み込んでいき、キャプテンの長谷部誠(現フランクフルト)を中心に実施した選手ミーティングでも、チームを立て直すことはできなかった。
「W杯前の親善試合にはいろんな選手を試しながら勝つことができて、雰囲気も良かった。コートジボワール戦に負けたあと、宿舎での雰囲気とかが劇的に悪くなったわけではないとはいえ、焦りというか、ピリつきが強すぎて、“行きすぎた緊張感”になっていました。『もうやるしかない』と1人1人が意見を言い合った選手ミーティングも気持ちやメンタルのことで終わって、解決策は出なかった。(キャプテンの)長谷部がチームをまとめようと動いてくれていたから大崩れはしなかったとはいえ、徐々に綻びが出ていきました」