サッカー界の流行に見る広島やC大阪が伸びた理由 欧州トップレベルはすでに次の段階、Jリーグも時間の問題?
ハイプレスで奪えない時はリスク増大、合間に高速カウンターが挟まれる展開に
ただ、ヨーロッパのトップレベルはすでに次の段階に入っている。
ハイプレスでは奪えないのだ。前からプレスして奪えないとなると、逆に前がかりのプレスはカウンターアタックを食らう危険が大きくなる。レアル・マドリード、FCバルセロナ、マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘンに対してハイプレスは通用せず、むしろリスクが増大してしまう。そうなると守備側はプレッシングを行うエリアを後退させるしかなく、C大阪や浦和レッズのようにミドルゾーンからのプレスをメインにするか、さらに後退した形で守るほかなくなる。
対戦するどちらもハイプレスでは奪えない状況なら、どちらも守備では引くしかなく、交互に押し込んで攻撃する合間に高速カウンターが挟まれる、ハンドボールに似た展開が多くなるのかもしれない。Jリーグがそのフェーズに入るのが来年なのか、数年先なのかは分からないが、これまでの流行の入り方からするとやはり時間の問題ではないかと考えられる。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。