引退表明の中村俊輔へ…元主審・家本氏「本当に寂しい」 ピッチで感じた“天才レフティー”の凄み「非常に稀有な存在」

現役引退を発表した中村俊輔【写真:Getty Images】
現役引退を発表した中村俊輔【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】中村の能力を絶賛「いろいろなものが俯瞰して見えている」

 J2横浜FCの元日本代表MF中村俊輔が10月18日、今季限りでの現役引退を発表した。26年のプロキャリアに幕を閉じる44歳のレフティーに対し、昨年サッカー国内トップリーグの担当審判員を勇退した家本政明氏が率直な思いを語った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 中村は1997年に横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に加入。その後、2002年以降は欧州のレッジーナ(イタリア)、セルティック(スコットランド)、エスパニョール(スペイン)でプレーした。10年に古巣の横浜FMに復帰し、17年からはジュビロ磐田、横浜FCと渡り歩いた。

 J1リーグでは通算408試合73得点、2度のMVP受賞(2000年、13年)と輝かしい実績を積み上げてきたが、近年は怪我に苦しみ、今季はここまでJ2リーグ戦5試合のみ出場。そんななか10月18日、横浜FCより今シーズン限りでの引退が発表された。

 一方の家本氏は1996年に1級登録。2002年からJリーグ担当となり、05年~16年は国際主審、05年からプロフェッショナルレフェリー(PR)も経験した。リーグ戦通算最多出場を誇り、これまで担当した試合数はJ1主審338試合、副審3試合。天皇杯主審38試合、副審3試合。リーグカップ主審62試合、副審1試合。J2主審176試合、副審3試合。J3主審2試合に及ぶ。

 そんな家本氏は、中村の引退決断の一報を聞き、「まずは26年間本当にお疲れ様でしたと伝えたい」と率直な思いを語っている。

「近年は怪我に苦しんでいて、磐田や横浜FCでは満足にプレーできない状態だったと思います。残念ながら先発出場する機会は少なかったですが、彼の存在が自チームや相手チームに大きな影響を与えていることに変わりはありませんでした。(現役審判員の頃は)ウォーミングアップをしている最中に『最近どんな調子ですか』と話しかけたり、話しかけられたりしていましたね」

 家本氏は続けて「彼は本当に頭のいい選手。プレークオリティーもめちゃくちゃ高い。いろいろなものが俯瞰して見えているので戦術眼にも長けています。フリーキック(FK)を含め、一発でゲームを変えることができる非常に稀有な存在です」と中村の持つ能力を絶賛。「見ていて本当にワクワクさせてくれるし、誰もが魅了される選手だとレフェリーをしていても思っていました。彼の勇姿がもうフィールドで見れないことは本当に寂しいですし、もっともっと見たかったです」と引退を惜しんでいる。

 最後に家本氏は「彼は相当努力をしている方だと思うので、今後も別のステージで良さを生かし、多くのファンを魅了してほしいです。より彼らしさを表現していってもらいたいなと個人的に思っています。中村俊輔選手のこれからの活躍を一ファンとして心から楽しみにしています」と第2の人生に向かう“日本のファンタジスタ”にエールを送っていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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