カタールW杯行きの日本代表MF「序列検証」 最後の“滑り込み”の可能性を秘めるのは?

旗手や相馬は当落線上ながら滑り込みの可能性も

 4-2-3-1の場合は、久保と南野がトップ下の候補になってくる。E-1選手権で持ち前の機動力を発揮して代表でも面白い存在になりつつあった西村拓真(横浜F・マリノス)、セルティックの旗手怜央(セルティック)もUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のレアル・マドリード戦でチームは敗れたが、鋭い動き出しでバイタルエリアからボックス内までかなり屈強なディフェンス陣を翻弄し、惜しいシュートも放った。

 旗手のメリットは左サイドや4-3-3のインサイドハーフなど、いかなるシステムでも複数ポジションができること。もちろん選ばれれば、左サイドバックも選択肢になるが、川崎フロンターレ時代に増してゴールに向かう姿勢が強く見られるので、基本的には前目のポジションがふさわしい。元同僚の三笘を含めてタレントが多く、9月シリーズの2試合では使われなかったが、ほかのMFにない推進力、パンチ力、決め手が評価されれば26人への滑り込みは十分にある。

 さらに読みにくいのは、E-1選手権で大会MVPに輝いた相馬勇紀(名古屋グランパス)だ。Jリーグでも、左ウイングバックで持ち前の機動力や仕掛けは見せているが、代表ほどのインパクトが出せずに、目に見える結果も1ゴール1アシストと寂しい状況に。ただ、国際試合のほうが彼の性能を発揮しやすいのと、セットプレーのキッカーとしても優秀なので、26人に拡大されたことによりチャンスが出てきた1人だろう。

 左には三笘、南野というタイプの異なる主力はいるが、相馬はアップダウンの運動量や小柄な体格を生かした抜け出し、パワフルなクロスなど違った持ち味があり、右サイドに何かあった場合にも対応できる。”当落戦上”ではあるが、直前に3バックを導入するサプライズも含めて、チームバランスなどによって可能性が変わってきそうだ。

■MFのカタールW杯有力候補(10人想定)
◎遠藤 航(シュットガルト/29歳)
◎鎌田大地(フランクフルト/26歳)
◎伊東純也(スタッド・ランス/29歳)
◎三笘 薫(ブライトン/25歳)
◎南野拓実(モナコ/27歳)
◎守田英正(スポルティング/27歳)
◎久保建英(レアル・ソシエダ/21歳)
○田中 碧(デュッセルドルフ/24歳)
○堂安 律(フライブルク/24歳)
○原口元気(ウニオン・ベルリン/31歳)
△柴崎 岳(レガネス/30歳)
△橋本拳人(ウエスカ/29歳)
△旗手怜央(セルティック/24歳)
△相馬勇紀(名古屋/25歳)
△川辺 駿(グラスホッパー/27歳)
△脇坂泰斗(川崎/27歳)
△藤田譲瑠チマ(横浜FM/20歳)
△岩田智輝(横浜FM/25歳)
◎=濃厚、◎=有力、△=当落線上

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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