中村俊輔は「永遠のサッカー小僧」 元番記者が見た生きざま、思い描かれていた「引退後」の景色

コーラは好きだが「月に1本」 積み重ねてきた節制の成果「絶対にある」

 当時、「甘い菓子パン」は仕方なく食べたが、酒は一切飲まず、タバコも吸わなかった。コーラは好きだが、「月に1本、自分が頑張れたと思う時だけ」と決めていた。それから長い月日が経ち、ジュビロ磐田の練習場で再会。静岡支局長の立場でインタビューをすると、「今はクリームソーダ。オフの期間に1回飲むか飲まないかな」と笑って明かした。

 その直前、2017年J1開幕戦となったセレッソ大阪戦で俊輔は、両チーム選手で最長の走行距離12.637キロを記録していた。38歳の春、「積み重ねてきた節制の成果があるか」と問うと、「それは絶対にあると思う。(節制を)しなくて30歳を超えてガクッとくる選手も見ているし」と話していた。グラウンドに出ると、チーム練習後、長い「居残り練習」も昔のままで、「俊輔はいくつになってもサッカー小僧」と実感した。

 引退の理由は、軸足の右足首が限界だったからだという。だが、「サッカーが好き」という純粋な気持ちは、そのままだと思う。海外挑戦の前から「引退したら、ジュニアユース世代の選手を指導したい」と言っていた。自身が「小柄、細身」を理由に、横浜のジュニアユースからユースに昇格できなかった経験があるからだった。

「フィジカルに恵まれていなくても、テクニックや、戦術眼とかで対抗できることはあるからさ」

 俊輔はこのイメージも実現することだろう。人間性も含め、後輩たちにリスペクトされていることを思うと、Jリーグのトップチーム、日本代表を率いる指導者にもなってほしいが、子供たちと一緒にボールを蹴る俊輔を見てみたい。また、どこかのグラウンドで。

(柳田通斉 / Michinari Yanagida)

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