広島スキッベ監督、「全員が負けた」と語った理由 天皇杯準優勝で涙の選手ら擁護「悔やんだり責任を感じる必要はない」

PK戦の末に敗れた広島【写真:徳原隆元】
PK戦の末に敗れた広島【写真:徳原隆元】

PK戦の末に敗れて準優勝、ルヴァン杯決勝へ「次の挑戦に立ち上がっていかないと」

 J1サンフレッチェ広島は10月16日の第102回天皇杯全日本サッカー選手権の決勝でJ2ヴァンフォーレ甲府にPK戦の末に敗れて準優勝。初の栄冠にはわずかに届かず、ミヒャエル・スキッベ監督は延長後半にPKのチャンスを生かせず、PK戦で失敗した選手もいたが「彼らがPK失敗に悔やんだり責任を感じる必要はない。負けたのは彼らではなく、全員が負けたのだから」と話した。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 広島は、前身の東洋工業時代に3回の優勝経験があるものの、Jリーグ創設からサンフレッチェ広島のチーム名になってからは準優勝5回と栄冠に届いておらず、初優勝を狙っていた。その対戦相手は、3回戦からJ1勢を4チーム連続で撃破してきたJ2の甲府だった。

 下馬評では当然ながら、J1で3位につける広島が優位というもの。しかし前半は、広島がうしろからつなぐところに厳しくプレスを掛けられ、落ち着いた状態では5バックでスペースを消すメリハリの効いた甲府の戦術に苦戦した。スキッベ監督が就任して今季の広島は、後方から組み立てるというよりも敵陣でのハイプレスを武器にしてきた側面がある。それと同じようなことを甲府にされたうえで、さらにボールを持たされた状態を作られた。

 そうしたなかでセットプレーから失点する前半に、指揮官は「前半は甲府のほうが自分たちのやりたいサッカーをやっていた印象がある。対戦相手が非常にうしろで深く守り、思ったようなスペースができなかった。ボールロストから相手に多くのスペースを与えてしまった。それで相手の方が良いサッカーをできたと思う」と振り返った。

 後半もボールを支配しながらゴールが遠かったが、後半39分にMF川村拓夢が起死回生の同点ゴール。延長戦では甲府に1本のシュートも許さずに押し込み、延長後半10分過ぎにはPKのチャンスを得た。しかし、ゴール左を狙ったMF満田誠のPKがセーブされて決着はPK戦に持ち込まれた。

 先攻の広島は、3人ずつが決めて迎えた4人目に川村がストップされた。甲府に5人全員決められて、PK戦4-5の敗戦。サンフレッチェ広島としての初優勝は叶わずに、6回目の準優勝となった。

 試合後に、満田や川村には目に涙を浮かべる姿があった。しかし、スキッベ監督は「試合に負けたことは悲しいと思うが、彼らがPK失敗に悔やんだり責任を感じる必要はない。負けたのは彼らではなく、全員が負けたのだから」と話した。

 広島は中5日で22日にはルヴァンカップ決勝でセレッソ大阪と戦う。指揮官は「スポーツなので、勝者がいれば敗者もいる。負けた者として、できるだけ早く切り替えて次のステップに進むのが大切。ここでは悔しい思いをしているが、次のルヴァンカップ決勝に向けてやっていきたい。少し時間は掛かるかもしれないが、これもスポーツ。負けたチームは次の挑戦に立ち上がっていかないといけない。それをやっていきたい」と、こちらも準優勝2回で初優勝の懸かる決勝の舞台への切り替えを誓っていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング