天皇杯決勝でなぜPKストップは生まれたのか? 甲府の“絶体絶命”を救ったGK 河田晃兵が安堵「当たって良かった」
延長後半のPKをセーブ、PK戦でも1本ストップした河田の読み
J2ヴァンフォーレ甲府は10月16日に第102回天皇杯全日本サッカー選手権の決勝で、J1サンフレッチェ広島を相手にPK戦の激闘を制して初優勝を飾った。延長戦で絶体絶命のPKをセーブし、PK戦でも1本ストップして勝利に導いたGK河田晃兵は、相手選手のプレースタイルからシュートのコースを読んだと明かした。
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甲府は前半に狙いどおりのセットプレーから先制するも、後半の半ばからは完全に押し込まれた。それでも守備陣が身体を張って1点リードを守っていたが、後半39分に失点。河田はその瞬間のことを「終わったと思った」と振り返る。それは、ここまでJ1勢を連続で撃破してきたなかでも苦しい戦いになった準決勝の鹿島アントラーズ戦(1-0)を念頭に「凌いでカウンターか、守り切るかの状況。ダメージは大きかった」と話した。
それでもチームは残り時間を凌いで延長戦に。しかし、延長後半10分過ぎにPKを与えてしまう。広島のキッカーはMF満田誠だったが、ゴール左を狙ったキックを河田がファインセーブ。そこからPK戦へと決着を持ち越した。
その満田のキックをストップした場面について守護神は「(相手キックの)情報は持っていなかった。ギリギリまで待って、プレースタイル的に思い切って打つタイプかなと思った」と話す。
そうやって試合中に相手のプレースタイルを観察していることは、PK戦でも生きたと言えるかもしれない。広島の4人目は90分の中で同点ゴールを決められたMF川村拓夢だったが、その場面は左足でニアサイド上部に強烈な一発を決められたもの。このPKの場面、河田は川村が力強くゴール右を狙ったシュートを、ドンピシャのタイミングでセーブした。
「相手の何人かの情報はあったけど、そのとおりに飛ばなくてもいい。自分の感覚を大事にした。うちの選手はPK練習でも上手くて決めていたし、1本か2本を止めれば勝てるなと思った。試合中に、この選手ならこっちかなとか、こういう蹴り方をするなという観察をして、感覚で飛んで当たって良かった」
キャリアの中で2014年にはガンバ大阪で三冠を獲得しているが「ずっとベンチに座って何も貢献していない」と振り返る。それだけに「甲府はほとんどの選手が出て、みんなで取ったタイトルだった」と喜んだ。
J2勢では第91回大会のFC東京以来の優勝だが、決勝でJ2対決ではなくJ1を破っての優勝は史上初。甲府は3回戦で北海道コンサドーレ札幌、4回戦でサガン鳥栖、準々決勝でアビスパ福岡、そして準決勝の鹿島、決勝の広島とJ1勢から5連勝を飾った。苦しい展開も多かったなか、最後方でチームを支えた守護神の存在は最後まで絶大だった。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)