41歳MF山瀬功治を支えた妻の“料理”と“化学” 大怪我で“引退危機”から復活に導いた普通と違う食の視点「受け入れてもらえなかった」
香りから色素へ―「料理=化学」に行きついた視点の変化「途中で気が付いた」
「彼をマッサージしていたところ、アロマテラピー化学から色素の化学に入っていったのが今の私の栄養学のベース。なのでほかの人と栄養の観点が少し違うかもしれない」
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2006年に日本アロマ環境協会でアロマ講師の資格を取った。その後、香りだけではなく飲用するためのハーブについても勉強。メディカルハーブ協会のハーバルセラピストの資格を取るため家事の合間を縫って学校へ通った。ただ、ハーブの飲用では1つ懸念点があった。ドーピングに引っかからないようにすること。そのため、成分分析を徹底した。それでも、植物には“個性”がある。そのため、ドーピングコントロールに詳しい神戸薬科大学の教授を頼ったこともある。複雑で専門的な化学についてとにかく毎日勉強した。
「それにプラスしてスポーツアロマトレーナーの資格も取っていたので、一般的なメディカルハーブをスポーツに落とし込む作業は自分でやっていた。だから真似しようと思ってもなかなかできないんじゃないかと思う。若手選手の奥さんにアロマとかハーブを教えて欲しいと言われるけど、化学から勉強しないといけないから、よっぽどの覚悟ないと。アスリートにハーブを出すというのは相当勉強しないと。ちょっと難しいですね」
もともと理系は大嫌い。学生の頃、化学は赤点だった。それでも、夫のために参考書や教科書を引っ張り出し、一から勉強。「感覚的には薬学を学んでいる感じ。化学を学ぶと体内の分布が分かるので良かった」。マッサージには解剖学の知識も必要。アロマやハーブを学びながら、嗅覚からどのように全身へ回り効果をもたらすのか研究を重ねた。そのなかで、料理に生かすことを思いついた。
「途中で気が付いた。香りをストイックに学んでいて、どちらかというと、料理よりも植物学の方がマニアックで深く学んでいたつもりだった。でも、考えたら料理している時にすごく香りがある。当然ですけど、色素もある。たまたま植物学の有名な先生の書籍を見た時に、タンパク質とか栄養学も基本的に化学骨格で書かれていて、『色素も化学の一部なんだ』と思ってからめちゃくちゃハマって。今度は色素や栄養の化学を勉強するようになった」
例えば、鮭には天然の赤い色素であるアスタキサンチンという抗酸化物質が含まれる。通常、栄養素は細胞膜の内側や外側に配置しているが、アスタキサンチンは細胞膜に貫通した形で取り込まれる特殊な化学構造をしていて、細胞膜の表面、中、どちらも網羅することができ、だから強力な抗酸化力を発揮することができる。このような「色素の化学」を学ぶことで料理の幅が広がったという。
「自分が料理する時は香り化学、色素化学をものすごく意識している。手っ取り早いのがスパイスを勉強すること。スパイスは香りも色素も強いから。近年、注目を浴びているのは、パエリアとかに入っているサフラン。認知機能に優位な改善が見られることや、身体を温めるので、冷え性や、血行不良、更年期障害や婦人病にも用いられるので、例えばスーパーでサフランを買ってきて、お湯に浸して飲むだけでも十分。抗酸化物質と思ったらいろんなお料理ができる。
スープ作る時にはハーブティーがベース。ハーブに含まれる豊富な栄養成分を煮汁に抽出しているイメージ。ポトフを作るとなったら、コンソメを入れてジャガイモやニンジン、お肉とか入れると思うけど、私は基本的にはルイボスティーで作ったりとか、カモミールジャーマンでベースを作ってそこにレンズ豆を入れたり、アスリートにはジビエとかもいいですね。スープにすることで煮汁に溶け出た栄養も採れるから、すごくいい」