久保建英の秘めた可能性をFC東京の関係者5人が証言 「自分の存在を言葉でもプレーでも表現できる」
福井哲育成部長の証言
中学2年で日本に帰国した久保に対して、福井部長は「決して力がなかったわけではないが、まず1年間は見極めが必要だ」と判断し、FC東京U-15むさしの同じ年代の選手たちと共にプレーをさせた。
ただし、危惧していたこともあった。チームメートが物おじするのではないかと思ったのだ。世界のバルセロナ帰りに選手たちは一目も二目も置くことを心配した。けれど、それも取り越し苦労に終わった。
「普通の中学生として、サッカー仲間として共にプレーできたことは、クラブとしてもうれしい誤算だった。また、彼はサッカーを非常によく知っているし、そんなたぐいまれなる才能を持った選手が側にいることで、周りも刺激を受けられる。クラブにとっても、間違いなくプラスになった」
それは、ピッチから離れたところでの、久保のバランス感覚の良さが幸いしたのかもしれない。プレー同様に洞察力が高く、集団の中での自分の立ち位置に気づくのがうまい。話す内容は年相応だが、黙っているということがほとんどない。
今年からクラブは育成スピードを上げる方針を打ち出し、久保の飛び級でのFC東京U-18昇格が決まった。福井部長は「今後はプレミアリーグでの先発出場、さらに、その先のステージとして、J3デビューも視野に入れて育てていかないといけない」と語る。