ソシエダ久保建英に試練? 怪我のエース復帰間近…W杯後に熾烈なポジション争いも 現地記者が指摘「苦しむことになるだろう」
【スペイン発コラム】大黒柱オヤルサバルの戦列復帰が間近、久保らの起用法に注目
スペイン1部レアル・ソシエダは怪我人続出ながらも今季ここまで、MF久保建英やMFブライス・メンデスなどの新戦力を上手く融合させ、公式戦12試合9勝1分2敗と好成績を収めている。UEFAヨーロッパリーグではすでにグループステージ突破を決め、ラ・リーガでは6位に付けている。そんななか、チームの大黒柱であるスペイン代表FWミケル・オヤルサバルの戦列復帰が間近に迫っている。
オヤルサバルは3月17日の練習中に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、その1週間後に手術を受けてから半年間に渡りリハビリを継続。今月4日にようやく全体練習に復帰し、完全復活に向けた最終段階へと突入している。
オヤルサバルについて、ソシエダの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」のイケル・カスターニョ・カベージョ記者に尋ねると、「レアル・ソシエダの偉大なキャプテンであり、このクラブを象徴する存在だ」と表現したように、これはすべてのレアリスタ(※レアル・ソシエダサポーター)にとって待ちに待った朗報である。
当然のことながらイマノル・アルグアシル監督にとってもエースの復帰は非常に重要なものとなるだろう。なぜならオヤルサバルは昨季、フル稼働できなかったにもかかわらず、ラ・リーガ22試合(先発19試合)の出場で9得点を挙げチーム得点王。さらには公式戦33試合で15得点と高い得点力を示しており、チームにとって欠かせない存在であることは間違いないからだ。
また、慢性的に得点力不足の問題を抱えるスペイン代表のルイス・エンリケ監督も復帰を待つ1人。オヤルサバルの代表通算成績は21試合6得点。最後の出場となった昨年10月のUEFAネーションズリーグ決勝のフランス戦で先制点をマークしており、得点力不足解消を期待される貴重な存在である。そのためL・エンリケ監督は約1か月後に迫るワールドカップ(W杯)に向け、復帰できるかどうかをギリギリまで見極めるとのことだ。
では、チームにとって非常に重要な選手であるオヤルサバル復帰後、ソシエダはどのように変わるのだろうか?
カスターニョ記者は「当然、前線の競争力が著しく高まるのは間違いない。タケやセルロートなどすべての攻撃の選手たちが、激化するポジション争いに苦しむことになるだろう」と推測しつつも、「ここまで素晴らしい結果を残しているタケは、オヤルサバルやそのほかの怪我人が復帰しても、チームにとって役立つ存在になれると思う。それにレアル・ソシエダには今季、まだラ・リーガ、ヨーロッパリーグ、国王杯の3大会が残っているので、タケには出場機会が十分あると思うし、それに値する実力もある」と見解を述べた。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。