「若い選手たちも主役になりつつある」 FC東京、アルベル監督がC大阪戦で上機嫌だった訳

C大阪に快勝したFC東京【写真:徳原隆元】
C大阪に快勝したFC東京【写真:徳原隆元】

【識者コラム】FC東京の試合後の会見に出席した記者は5人も…重要な意味を持った一戦

 この1年間でFC東京は、すっかり影の薄い存在になったようだ。

 10月12日、水曜日のナイトマッチ(J1リーグ第25節順延分セレッソ大阪戦/4-0)で快勝したアルベル・プッチ・オルトネダ監督の会見に出席した記者は、わずかに5人。同じ味の素スタジアムで戦うJ2の東京ヴェルディなら似たような寂しい会見が行われたこともあるが、さすがにFC東京戦後にこんな光景に遭遇したことはなかった。

 やはりこの時期になると、どうしても優勝や残留争いが焦点になる。メディアの取材対象から省かれるのも致し方ないのだが、実はFC東京がC大阪をホームに迎えた一戦も重要な意味を持っていた。

 C大阪は勝ち点50で4位につけ、FC東京は4ポイント差で追いかけていた。すでに優勝を争う横浜F・マリノスと川崎フロンターレはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場を確定し、3位のサンフレッチェ広島は天皇杯でも決勝に進出しており濃厚だ。つまりFC東京にとっては、ACLへの4つ目の椅子を争う当面のターゲットを引きずり降ろすラストチャンスだった。

 シーズンも終盤に差しかかり、アルベル監督には「自信を持ってボールを保持できるようになってきた」という手応えがあった。そこで、「さらにそれをゴールへ向けて、より攻撃的に表現する」のが次のフェーズだと考えていたという。

 むしろ序盤は、果敢な出足で主導権を握りかけたのはC大阪だった。10日後にはルヴァンカップ決勝を控えているので、そちらへ注目が偏りがちだが、このタイトルを手にしてもACLへはつながらない。来年以降のステップアップを睨むなら、リーグ戦の4位は死守したいところだ。

 だが、そんなC大阪が立て続けに不運に見舞われた。開始10分過ぎには左サイドバック(SB)の山中亮輔が空中戦で衝突して退場。急遽進藤亮佑をセンターバック(CB)として送り込み、代わりにCBでプレーしていた西尾隆矢をSBに回す。さらに前半を終えた時点でボランチの鈴木徳真が膝に違和感を訴え交代を余儀なくされた。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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