J1浦和×鳥栖、2つのオフサイド判定は妥当か ゴール?ノーゴール? 元レフェリー・家本氏が見解「人間の限界」
前半4分、後半17分に発生したオフサイド判定を巡る事象を「Jジャッジリプレイ」で検証
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、10月8日のJ1第32節浦和レッズとサガン鳥栖が対戦したゲームで2つの際どいオフサイド判定の場面が取り上げられた。
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最初の場面は前半4分、浦和が左サイドからボールを展開してDF大畑歩夢が背後にボールを供給。そこにMF小泉佳穂が走り込んで中央にクロスを入れると、鳥栖DFファン・ソッコがゴールへ蹴り込んでしまった。副審は小泉にパスが通った時点でオフサイドがあったと判定し、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)も時間を掛けて確認をしたものの、現場の判定通りにオフサイドとなった。
スロー映像と一時停止で確認しても非常に際どい場面だっただけに、ゲスト出演した元ロンドン五輪日本代表監督の関塚隆氏は「両方に取れる」と苦笑い。「サッカーを楽しむのであれば得点にしてもらいたい綺麗な崩しだった」と話した。
ファン・ソッコの設置している足と、小泉の空中にある膝の比較というタイトなものだっただけに、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「得点が認められても妥当だった」としつつ、副審の判定に至る過程を解説している。
「副審が1メートルほど前(ゴール方向)にポジションしている。本人は真横にいるつもりだろう。ボールを蹴った瞬間とオフサイドポジションの比較は同一視野で見やすいが、ポジションがズレていることで自分に近い側の鳥栖の選手と比較した時に、奥にいる浦和の選手がより前にいるように錯覚してしまう」
続いて後半17分には鳥栖が最終ラインからフィードしたボールをFW宮代大聖が受けてゴールにつなげた場面だったが、これもかなり際どいオフサイド判定だった。現場ではオフサイドではないとされ、VARの確認もあったがそのままゴールが認められている。
この場面についても家本氏は、副審のポジションがややゴール方向にズレていることを指摘。そのうえで、浦和の選手がニアとファーにいる間から宮代が飛び出してきたことから「ファーサイド側の浦和の選手に目線をフォーカスすると、鳥栖の選手がより出ていないように感じてしまう。得点を認めたということは、奥の選手にフォーカスしたことでよりオンサイドに見えた場面だと思う」と話した。
そのうえで、これら2つの判定を「真剣に、真摯にやっているが人間の限界という面もある」として、「それらを補うのがテクノロジー。来シーズン以降のJリーグは厳密性の高い3Dラインでのオフサイド判定が入ってくるので変わってくる」と話した。
関塚氏は判定にこうしたテクノロジーが入ってくることについて、「正しい道。これだけのハイスピード、ハイラインの中で得点シーンに対してテクノロジーが入るのは賛成。これを見ても微妙。いくら副審が蹴った瞬間にラインを同時に見ると言っても、なかなか不可能だと思う」と話していた。