J1広島の“注目株”川村拓夢が語る、大反響60m級超絶ロングシュート 「パスのイメージ」だった一撃の舞台裏
賞金の使い道はカフェ巡りと同期との食事、残りは貯金!
――この試合は2年6か月振りとなる声出し応援が可能になった試合でした。ファン・サポーターの反応も嬉しかったのではありませんか?
「自分はこのクラブを見ながら育ってきましたし、応援歌もずっと小さい頃から聞いていたので、自分にとってすごくパワーになりました」
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――試合終了後には、ユースから同期の大迫敬介選手が駆け寄ってきたシーンもありました。試合後、どんな話をしましたか?
「とにかく、『すごいね!』とか、そういうことしか言われなかったのですが、僕としては大迫選手、満田誠選手の活躍が刺激になっていたので、同期で切磋琢磨しながら、良い関係を築けているかなと思います」
――9月は公式戦でかなり点を取れていますが、要因はありますか?
「やっぱり清水戦の2ゴールですね。自分のストロングポイントが通じるというのが、自信につながりました」
――そのストロングポイントを具体的に教えてください。
「左足のキックの部分ですね。自分としてもストロングポイントだと思っています。あとはゴール前に入るところ。嗅覚の部分でもここ最近、優れていると思うので、そういうところは自分の強みだなと思っています」
――以前、野津田選手もベストゴールを受賞しました。同じ左利きで中盤を務め、キックの精度も高い選手ですが、参考にするところもありますか?
「そうですね。でも、野津田岳人選手と自分ではキックの種類が違うというか、野津田選手の得意としているボールは、シュートとか落ちていくボールです。自分はどちらかというとストレートなボールなので、このシュートの時もストレートボールなら、外れる確率も減るので、ロングパスを選択しました。僕とは違ったタイプの左利きの選手なので、違った刺激を受けながら、良いプレーができているかなと思います」
――今シーズン、J2の愛媛FCから復帰して、多くの試合に出場し活躍されています。ご自身の成長をどのように感じていますか?
「J2である程度試合に出て得点を重ねてきたのですが、キャンプではスピードなどが全然、違いすぎて、練習に付いていくのが精いっぱいだったんです。僕自身ミスがすごく多くて、とにかくJ2で付けてきた自信が一瞬でなくなりました。本当に『このままプロのキャリアが終わるかも』と思ったくらいだったのですが、コーチングスタッフが話を聞いてくれたりして、慣れてきました。本当にビックリするくらいJ1とJ2ではレベルが違っていたのですが、そのなかで自信を積み重ねていくことができたのか、周りに慣れたのか、7月くらいになってやっと自分のプレーを出せるようになってきたかなと思います。本当にJ2とは全然違いました」
――今、ご自身でも成長を実感されていて、非常に充実していそうですね。
「そうですね。試合に出れば出るほど、自分としては良くなっている感覚があります。J1とJ2を比べたら、J1でプレーしているほうが早く成長できている感じはします。今回、ベストゴール賞を受賞させていただいたことも自信になるので、この先のプレーにつなげていきたいです」
――ちなみに、月間ベストゴールの賞金は20万円です。
「聞きました。貯金したいと思います(笑)。でも、普段からカフェ巡りをしたり、ピッチ外でも一緒にいる時間がすごく長い、大迫選手、満田選手たち同期とご飯に行って、残りは貯金したいと思います」
――最後に、今シーズンも終盤に来て、勝ち点を落とせない状況が続いていますが、残りの試合に臨む意気込みを聞かせてください。
「J1リーグ3位以内をチームとしても目標にしています。また、ルヴァンカップ、天皇杯と決勝に残っているので、そこで必ず勝って優勝したいと思います」
川村拓夢(かわむら・たくむ)/1999年8月28日生まれ、広島県出身。サンフレッチェ広島ジュニアユース―広島ユース―広島―愛媛FC―広島。2018に広島の下部組織からトップチームへ昇格。翌年から3シーズン、愛媛への武者修行を経て、今季から広島へ復帰した。正確なキックと展開力を武器にチャンスを掴み、2022年のリーグ第24節鹿島アントラーズ戦でJ1初ゴールをマークすると、第28節の清水エスパルス戦では2ゴールを奪う活躍を見せた。