3バック&4バック、大幅ターンオーバーの可能性も? 森保ジャパンのカタールW杯戦術をデータから考察
4-2-3-1の成熟路線が有力
【1:3バックで臨むのではないか】
就任時に、森保監督は広島時代に使っていた3バックを使用するのではないかと推測されていた。だが、最初の2試合では4バックを採用する。
2018年10月15日の会見では4バックと3バックの使い分けについて「スタートの位置が違うので多少の動きの違いはあると思いますが、選手には大きく変わった、まったく違ったことをやっているという考えでは捉えてほしくない」としつつ、次のように発言している。
「3バックだと、サイドの幅(68メートル)の使い方が、攻撃において高い位置でできる。守備においては68メートルを守る時に、横の揺さぶりに対してより相手との間合いを詰めながらサイドに起点を作らせない戦いができる」
そして、今年3月8日の取材対応ではこう説明している。
「3バックにすると、特にウイングバックが守備的か攻撃的かで変わる。守備の時は64メートルの幅を3バックプラスウイングバックの5人で対応できるし、攻撃になった時ウイングバックがFWのラインに入ると、4バックの相手に対しては攻守で常に数的有利になる。ただし、簡単な運動量じゃないくらい走らなければいけない」
運動量さえ担保できれば3バックは有効に思えるし、実際、森保監督は五輪代表を率いるときは3バックを多用していた。そう考えるとW杯本大会では意表をついて3バックを採用する可能性が出てきそうだ。
だが一方で、同じ3月8日に森保監督はこんなエピソードも披露した。U-21日本代表を率いて3バックで臨んだため、あとで他国の監督から不思議がられたという。
「カナダの監督から『3-4-3は割とポジションが固定されていて、それぞれのポジションのストロングで戦っていくと思うのだが、日本は4バックにして流動的に戦ったほうが良さを出せるのではないか』と言われたことがある」
そして、4バックを採用したのは次のような理由からだという。
「4バックでやるといろんなスライドが生まれてくるが、日本人は賢くプレーできるので、岡田監督が言っていたようにマンマークをしながら賢くポジション修正しながら戦っていける。そのため、これまで先輩方がやってこられたことを継承しながら積み上げができるのではないか」
こう説明する以上、やはり3-5-2はあくまでオプションということになるだろう。そして、よりサイドの攻防が必要な時にだけ採用するはずだ。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。