鎌田大地は順風満帆? ベテラン長谷部誠が「好調だね」と太鼓判も…印象的だった“本質を突いた”メッセージ

フランクフルトで活躍する鎌田大地と長谷部誠【写真:Getty Images】
フランクフルトで活躍する鎌田大地と長谷部誠【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】シーズン序盤から絶好調、鎌田の好プレーに現地評価も飛躍的に向上

 フランクフルトの日本代表MF鎌田大地が絶好調だ。ブンデスリーガ第8節終了時点で4ゴール2アシスト。エレガントにボールを運び、リスクを恐れずにチャンスメイクにチャレンジするプレーで首脳陣やチームメイト、ファンからの評価を飛躍的に上げている。ここ最近はインテンシティーの高いプレーを持続させており、競り合いにおける力強さはなにより素晴らしい。

 10月1日に行われた首位ウニオン・ベルリン戦では、ダブルボランチの一角でフル出場。攻守両面において相手を凌駕するプレーを見せると、ドイツ日刊紙「Frankfurter Allgemein」は試合後の選手評価で賛辞を並べていた。

「ダブルボランチの一角で起用されたこの試合でも、チームプレーを充実させていた。入団当初のやせ細ったゲームメーカーという印象はもはやなく、がっしりとした体躯で激しいスライディングタックルを見せるなど競り合いの強さを身につけている。そしてボランチの位置からでも素晴らしいクオリティーでチャンスを創出する」

 今夏、鎌田はポルトガル1部ベンフィカへ移籍間近と報じられていた。地元紙のいくつかは鎌田を売却したほうがいいと願っているのか、移籍報道を大きく展開していた。なかには根も葉もない噂話で終わるものもあれば、信憑性の高そうな書かれ方をされることもある。今回は後者の傾向を感じさせた。というのも、マルクス・クレッシェSDは「もし本人が望むなら」とオープンな姿勢を取っていたし、現行の契約は2023年まで。ドイツ移籍専門サイト「transfermarkt」による鎌田の市場価値は2200万ユーロ(約31億円)と相当に高額のため、クラブとしても今が売り時と考えても不思議ではない。

 ただ、それにストップをかけたのがオリバー・グラスナー監督だった。個人的に鎌田と話し合いをして、自身のプランと評価を丁寧に伝えたという。今季マリオ・ゲッツェが加入したため、ポジションのかぶる鎌田がベンチの可能性があると報じた地元紙も多かったが、グラスナーは鎌田の“試合を決定づける”才能を非常に高く評価している。相手の裏を取り、チャンスをクリエイトし、ゴールに関わる能力はリーグでもトップレベル。実際に今季はブンデスリーガだけではなく、DFB杯でも、そしてUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でもゴールに関わる仕事で輝いている。

 プレミアリーグのトッテナムをホームに迎えたCLグループステージ3戦目でも左の攻撃的なポジションでフル出場すると、随所に優れた動きを見せていた。自身の良さを残しながら、さまざまなプレー局面に関われるようになっているところに成長を感じさせる。

page1 page2

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング