久保建英と鎌田大地、共存共栄の“最適解”は? 金田喜稔がメリット&デメリットを指摘「1つ判断を間違うとピンチに」
【専門家の目|金田喜稔】4-2-3-1システムを評価する一方、潜在的なリスクも考察
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は9月23日、ドイツ・デュッセルドルフでのキリンチャレンジカップでアメリカ(同14位)と対戦し、MF鎌田大地(フランクフルト)とMF三笘薫(ブライトン)のゴールで2-0の勝利を収めた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、MF久保建英(レアル・ソシエダ)と鎌田が共存共栄する最適システムについて持論を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
日本代表はアメリカ戦で4-2-3-1システムを採用。FW前田大然が1トップに入り、2列目左に久保、トップ下に鎌田、右にMF伊東純也(スタッド・ランス)が並んだ。ここのところ取り入れていた4-3-3ではなく、最終予選の途中まで継続採用していた森保ジャパンの主戦システムに戻したなか、鎌田と三笘のゴールで2-0と快勝した。
金田氏は機能性を維持した4-2-3-1システムを評価し、伊東のスピードと縦への突破力、鎌田の創造性と視野の広さ、久保のテクニックと局面打開力が生きると分析。1トップの人選は再考の余地があると語るものの、とりわけ鎌田と久保を共存させるのであれば最適解の可能性があると指摘する。
「4-2-3-1システム自体は、森保ジャパンで途中まで採用してきただけに、選手たちの役割などに迷いは見られなかった。4-3-3システムを採用した経緯も、最終予選で追い込まれ、これ以上負けられないという状況でたどり着いた経緯がある。所属クラブで好調をキープしている鎌田や久保を活用するのであれば、アメリカ戦のように4-2-3-1システムが最適解かもしれない。鎌田が自由に動き回り、久保も左サイドや中央で臨機応変に絡む場面が見られた。お互いの良さを引き出せる関係で、このまま積み上げていきたいところだ」
その一方、4-2-3-1の課題にも触れ、「物事にはメリット・デメリットがあり、4-2-3-1であれば鎌田が中央で縦横無尽に動いて攻撃にアクセントを加え、久保も比較的自由に動くタイプのためバランスが崩れやすい。ボランチが1つ判断を間違うとピンチになりかねないリスクはある。ボランチが前に行くのかどうかを問われる場面が多く発生し、シビアな判断が何度も求められる」と考察した。
11月のカタール・ワールドカップ(W杯)ではドイツ、コスタリカ、スペインと対戦する。W杯優勝経験国のドイツ、スペインと対峙する試合を想定し、「1つのシステムがベストと言い切れるものではなく、個々のコンディションと特性、組み合わせ、試合の状況などで当然変わってくる。4-2-3-1と4-3-3をベースとしながら、状況次第で臨機応変に変えていく以外にない」と強調した。
ドイツ遠征の2戦目は27日のエクアドル戦。アメリカ戦で起用されなかったFW古橋亨梧(セルティック)、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)、MF南野拓実(ASモナコ)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF旗手怜央(セルティック)らをどのような形で送り込むのか注目が集まりそうだ。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。