米圧倒の日本代表、W杯を見据えたシステムが機能した理由 好調な選手たちが持ち味を随所に発揮…見事に「ハマった」狙い
遠藤航に引きを取らなかった守田英正、中盤の強度を維持しながらボール奪取力も発揮
前線の選手たちがハードワークを見せ、相手の攻撃の出所を明確にしたことで、うしろの選手たちにも攻撃を跳ね返しやすい状況ができた。それでも、トップ下を置いたことにより、セントラルハーフが1枚削られる形になったなか、MF遠藤航(シュツットガルト)とMF守田英正(スポルティング)がピッチの横幅を2人でカバーしたことは特筆に値する。
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アジア最終予選からインサイドハーフで起用されていた守田だが、これまでも「アンカーでプレーできるところを見せたい」と語るなど、自身の適正はより守備的なポジションだと話していた。実際にこの試合でも、ブンデスリーガのデュエル王である遠藤に引けを取らないボール奪取力を見せる場面もあり、2人が並び立つことで中盤における強度も高く保つことができていた。
守田とともに、この日の中盤を支えた遠藤は、「彼はもともとあれくらいできる」と断言。「ただ、より自信を持っている。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でプレーしていて、ステップアップしている。ボールを持った時の次につける場所は良くなっていると思う。自分も上手く間で受けつつ、守田のところも使いつつというのはあった」と、アンカーとインサイドハーフではなく、ダブルボランチとしてのプレーに手応えを感じ取っていた。
インサイドハーフより、少し低いボランチに入ることになった守田だが、鎌田の決勝ゴールの際には前線へ入り込み、アシストを記録している。本人も「90分通してゲームメイクできた」と語っているが、前線のハイプレスが光った試合にあって、マン・オブ・ザ・マッチに推したくなるパフォーマンスで攻守にわたって存在感を示していた。思い返せば、日本がチュニジアに0-3と大敗した6月シリーズでは、守田が負傷欠場していた。今回、自らのプレーによって、日本代表の中盤に不可欠な存在であることを証明することに成功した。
森保監督は試合後の会見で、4-2-3-1が機能した理由に「システムとしては新しく試したわけではなく、4-1-4-1の前は長く4-2-3-1だった」と、真新しいことを試したわけではないと語った。それでも、1トップの選手の特徴が変わり、W杯で戦う強豪を意識したなかで、これまでと違う意図があったのは間違いない。久しぶりに採用した4-2-3-1が機能したのには、クラブで好調な選手たちが起用され、長所を引き継げる形でプレーできたことに加え、W杯アジア最終予選や各国リーグを戦うなかで、成長を遂げて自信を深めてきたことが大きかっただろう。