森保ジャパン、アメリカ戦5つの注目ポイント 大迫不在の1トップ問題、久保のFW起用…見どころをチェック

セットプレーのキッカーを誰に任せるかも見どころに

 もう一つ気になるのが、DF冨安健洋(アーセナル)の状態だ。昨シーズンの終盤に負傷した冨安は、長期の離脱が続き、今シーズンも開幕は出遅れた。また、所属するアーセナルではサイドバックでのプレーが続いており、代表での試合も欠場していたことから、センターバックとして最後にプレーしたのは、2021年11月のオマーン戦(1-0)となる。冨安不在時にセンターバックを務めていたDF板倉洸(ボルシアMG)が負傷離脱し、センターバックが手薄になっていることからも、冨安のコンディションやセンターバックでの感覚は、今回の遠征の重要なチェックポイントだ。

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 また、チームとして、スコアに応じて、どのような試合運びを見せるかにも注視したい。6月のチュニジア戦では、先制点を決められた後、チームが点を取りに行くのか、一度守備を落ち着かせるのか、意思統一をし切れなかった。今回の遠征が始まってすぐ、吉田は森保監督の下へ行き、状況に応じたチームの戦い方を事前に統一することを求めたという。

 W杯の本大会では、さまざまな状況が想定される。例えば初戦で先制点を挙げた場合、そこからはリードを守るために守備固めに入るのか、あるいは2点目を狙いに行くのか。全員が意思統一できていなくて動きがバラバラになってしまえば、せっかくのリードを守り切れる可能性も低くなる。

 より難しいのが、リードされた場合だ。吉田も「先制された試合で、盛り返した試合が少ない」と語っているが、チュニジア戦やブラジル戦だけでなく、アジア最終予選のオマーン戦やサウジアラビア戦といった試合でも、チームは追い付くことができていない。目の前の試合の勝敗だけでなく、全体の勝ち点のバランスも考えなければいけない試合で、点を取りに行くのか、点差を維持するのか、チーム内での意思統一ができていなければ、さらに傷が深くなってしまうかもしれない。ドイツ、スペイン、コスタリカといった相手は、そうしたスキを逃してくれるチームではないだろう。

 チーム全体で意思統一ができているか。どの位置までプレスをかけに行き、次の選手たちが連動できているか、そしてどこでボールを奪おうとしているのかは、強豪国と対戦する日本にとって、W杯までに確認しなければならないことだ。

 攻め込まれる時間が長くなることが予想されるW杯では、どれだけ効率的に点を取れるかも重要だ。アジア最終予選を含め、なかなかセットプレーで得点を挙げられなかった日本だが、被ファウルが期待できるスピードのあるアタッカーも多いだけに、本大会に向けて磨きをかけておきたいところ。本番前に、手の内を明かすようなことはしないかもしれないが、少なくとも、このセットプレーのキッカーを誰に任せる可能性があるのかは、チェックできるはずだ。

 世界最高峰の戦いが近づくなか、確認したいことは山ほどあるが、時間は限られている。まずはアメリカとの90分、日本がどのような顔ぶれで、どのような戦いを見せるか。試合結果以上に、内容に注視したいところだ。

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