日本代表OB呂比須ワグナーが森保ジャパンを分析 カタールW杯で「ダークホース」になると断言する理由は?

日本で15年間プレーした呂比須ワグナー氏【写真:本人提供】
日本で15年間プレーした呂比須ワグナー氏【写真:本人提供】

呂比須はより攻撃的なプレーを要求

 最後に、大陸間プレーオフを勝ち上がって6回目のW杯出場を決めたコスタリカだ。

「今年、何試合か見たんだけど、あまり気に入らなかった。選手たちの技術力は高いけど、戦術面で改善の余地がある。日本はいい戦いができると思うよ」

 これらの国を相手に、日本の決勝トーナメント進出を予想する根拠について、呂比須はこう説明する。

「日本には技術的なクオリティーもあるし、フィジカルコンディションも良い。経験豊富な選手と若い選手がいて、バランスが取れている。ただ、日本は攻撃を視野に入れた守備をし、いざボールを持ったら怖がらずに、より攻撃的にプレーすることだ。もっとフィニッシュに持ち込まなければならない。その役割を担う選手たちが、もっと『ゴールを決めるんだ』という確固たる信念を持つことだ。それが、遠くから見ている僕の意見だ」

 より攻撃的なプレーを求める呂比須は、そのための準備についても力説する。

「試合の時間を分けることもできるんだ。例えば、前半を3つに分けて、最初の15分はしっかり守る。次の15分は、最終ラインを少し上げて、もう少し前でプレーする。そして、最後の15分はさらに最終ラインを上げて、オフェンシブな動きを増やす。ボールの出どころから攻撃を組み立て、2人か3人、もしくは両サイドバックやボランチを含めて5人で攻める、などね。

 トライアングルで攻め上がって、もっとプレーが流れるようにする。または、サイドチェンジをしたり、縦に攻撃したり。また、クロスを上げる時には、ペナルティーエリアに少なくとも3人が侵入したりね。6月6日の(キリンチャレンジカップ)ブラジル戦で、強豪相手にそういうテストができれば良かったんだけどね。もちろん、最初の15分で2点、3点と奪われたなら、追加点を取られないように、引いて守るのは自然なことだ。でも、あれだけコントロールできたのだから、もう少し大胆になっても良かったのではと思う。

 あと、6つの交代ができたんだから、例えば、0-1で負けかかっているならば、SBか中盤にもっと攻撃的な選手を投入してみるとか、攻撃するための新たなフォーメーションを経験してみるとかね。W杯で失点したら取り返さないといけないのだから、W杯の戦いを想定して、親善試合を利用するんだよ」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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