ブライトン新監督就任のデ・ツェルビ氏が所信表明 「ウクライナを去る時に残したのと同じ情熱と同じ思いで仕事を続ける」
ロシアのウクライナ侵攻でウクライナからイタリアへ帰国
日本代表MF三笘薫が所属するイングランド1部ブライトンの監督に就任することが決まったロベルト・デ・ツェルビ氏が記者会見を実施。母国イタリアのサッカー専門メディア「カルチョメルカート・コム」では、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて首都キーウから逃れてきた指揮官の言葉を報じている。
ブライトンはグラハム・ポッター監督の指揮下で今季をスタートしていたが、強豪チェルシーがトーマス・トゥヘル監督を解任したあとに引き抜きを行った。そのため空席になっていた監督の座には、スコットランドの名門セルティックで指揮を執るアンジェ・ポステコグルー監督の名前も浮上したが、デ・ツェルビ監督の就任が決まった。
現役時代、イタリア1部の名門ACミランの下部組織で育ち、キャリアの中ではイタリアの地方クラブやベルギーでプレーしたあとに指導者へ転身したデ・ツェルビ氏は、サッスオーロなどイタリア数クラブの監督を歴任し、昨季からウクライナ1部シャフタール・ドネツクを率いた。リーグ戦では18試合を終えて15勝2分1敗と好チームに仕上げていた。
しかし、2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことですべてが崩壊。デ・ツェルビ氏は、時に防空壕の中にも潜りながら4日間をかけて壮絶なイタリアへの帰国を果たしたことが当時に報じられていた。
それだけに就任会見では「選手、クラブ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のためにシャフタールを選んだのに、2月24日に予想外のエピローグを迎えた。私は大きな悲しみを抱えてキーウをあとにした。その悲しみとは、まず戦争に対して、そして自分が受け継いできたチームを残してしまったことに対して。私にできることは、ウクライナを去る時に残したのと同じ情熱と同じ思いで仕事を続けること」と、シャフタールへの敬意を示した。
そのうえで現在4位と好調なブライトンを受け継ぐことについて、「より大きな刺激になる。目標は昨年の結果を上回り、リーグ戦のトップ10に残ること。ピッチ上のチームは、何をすべきか分かっていて、明確なスタイルを持っている。しかし完璧というものは存在せず、常に改善すべき点があると私は信じている。新しいことをいくつか考えていますが、大きくは変えずに。先ほど言ったように私たちは常に向上できると信じているし、それが私の目標でもある」と、まずはチームのベースを引き継ぐと語った。
ウクライナで悲劇が起こる前に見せていた手腕は、イングランドでも通用するのか。三笘の起用法も含め、イタリア人監督のマネージメントが注目される。
(FOOTBALL ZONE編集部)