J3岐阜×藤枝のPK献上シーン、なぜ退場にならない? 元主審・家本政明氏が解説「DOGSOの条件は満たさない」
【専門家の目|家本政明】岐阜対藤枝で起きたPK判定について考察
森保一監督率いる日本代表が9月に欧州遠征(23日にアメリカ戦、27日にエクアドル戦)を予定しているなか、日本対アメリカ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。9月14日に行われたJ3リーグ第21節FC岐阜対藤枝MYFC(0-3)の試合で起きたペナルティーキック(PK)判定について、DOGSO(通称ドグソ/Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity/決定的な得点機会の阻止)検証をしてもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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前半11分にクロスから藤枝が先制し試合を有利に進めるなか、後半18分に藤枝が再びチャンスを迎える。中盤でボールを奪った藤枝が素早い攻撃を展開し、スルーパスに抜け出したFW渡邉りょうが飛び出してきた岐阜GK桐畑和繁をかわそうと左へボールを運んだところで接触。矢野浩平主審は藤枝にペナルティーキック(PK)を与え、桐畑にはイエローカードが提示された。
このシーンで、渡邉を倒した桐畑に対し下された判定が正しかったのか。SNS上ではファンから「DOGSOで退場では?」という意見も上がったなか、家本氏は「結論から言うとDOGSOには至らない」と見解を示している。
「渡邉選手が左足で左斜め外側にボールを突く。この際にGKと接触して倒れ、方向として斜め外に向かっており、ゴール前にカバーできる相手ディフェンスが戻って来ていて、さらにコンタクトのすぐうしろ辺りに相手の選手がいる。もしここで反則がなく、渡邉選手がボールを保持していたとしても、そのタイミングでGKと2枚の相手DFがゴール前辺りにいて対応できる状況が容易に窺えるため、DOGSOの条件は満たさないという判断です」
DOGSOの適用条件には、(1)反則とゴールとの距離、(2)全体的なプレーの方向、(3)ボールをキープ、またはコントロールできる可能性、(4)守備側競技者の位置と数、が必要となる。今回は全体的なプレーの方向や、ボールをコントロールできる可能性、守備側競技者の位置と数の3つの条件の要素が十分に満たされていないという判断となり、矢野主審の判定は十分サポートできるものだとしている。
試合はその後、得たPKを渡邉が決めてリードを広げると、さらに1点を追加し藤枝がアウェーで3-0の勝利を収めた。
そんな家本氏は、9月23日に行われるキリンチャレンジカップの日本代表対アメリカ代表の一戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する。試合中に起きた事象や判定などの視聴者の疑問にも答えつつ、独自のレフェリー目線でリアルタイム解説する“家本節”にも注目が集まる。
■オンライン配信イベント
「家本政明ぶっちゃけLABO」
独自のレフェリー目線解説…大好評第3弾!
ワールドカップ目前の欧州遠征、森保ジャパンの日本代表戦を初配信!
参加者の意見・質問に家本氏が「忖度ゼロ、NGゼロ」のぶっちゃけ回答!
【配信カード】
日本代表×アメリカ代表
【配信日時】
9月23日(金)午後9時20分からライブ配信
【オンライン配信イベント&参加チケットの詳細】
https://iemotolabo.base.shop/items/66899833
家本政明LABO、好評につき第3回目を開催することになりました。今度は9月23日の日本代表戦です。
チケットはこの後20:00より発売開始となります。チケットはこちらから→https://t.co/UzVfO7p2kI pic.twitter.com/lzndAJj03f
— 家本政明 (@referee_iemoto) September 13, 2022
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。