堂安律、なぜ飛躍のシーズン序盤に? 「リツはもっと良くなる」とドイツ記者喝采、ビーレフェルト時代からの明らかな変化とは

【ドイツ発コラム】新天地で躍動する堂安律、好調の要因と現地評に迫る
堂安律がいい。とてもいい。
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9月23日にアメリカと、27日にエクアドルと対戦する日本代表メンバーにも選出されているが、今夏に新加入したフライブルクで好パフォーマンスを毎試合のように披露している。ドイツのサッカー専門誌キッカーの採点ではチーム内でCB(センターバック)マティアス・ギンターの2.58に次ぐ2.83と非常に高い数字(6段階評価で1が最高)をマークしている。
ピッチ上での攻守における躍動感が素晴らしく、堂安がギアを入れてドリブルに入るとスタジアムがワクワクするし、味方がボールを失った時に足を止めずにプレスに入り、相手ボールをブロックしたり、カットしたりすると大きな拍手が起こる。
地元記者からも愛されている。ボルシアMG戦(9月11日)後のミックスゾーンで堂安とのインタビューを終えた僕に対して、地元記者がにこやかに手を振ってきた一幕があった。どうしたのかなと思って近づいて聞いてみたら、「リツは素晴らしい選手だ。もっと良くなるよ!」といって小さく握ったこぶしを僕にぶつけて、にっこり笑った。
いろんなアクションに堂安が関与していく。サイドに開いて起点を作る。SB(サイドバック)の裏スペースを常に狙う。タイミングを見計らってセンターにポジションを移し、逆サイドからのクロスに対してペナルティーエリア内へスルスルと侵入する。
ボールがある時の動きだけではなく、ボールがなくても常に目と頭を動かして次の動きへ準備をするし、攻撃だけではなく守備でもダイナミックなプレーでプレスとカバーに余念がない。こうしたプレーの連続性というのはビーレフェルト時代と比較しても明らかに向上している。
味方からの信頼も日ごとに増している。堂安が動くとパスが来るし、こうしてほしいと要求すると次のシーンでボールが送られる。
堂安「(パスがどんどん来るようになったのは)ここ2、3試合ですけどね。最初の頃はあまり来てなかったし。結果を出せば変わるというのはこういうことかなと。ヨーロッパの選手は分かりやすいです。いい感じでは始まっている」
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中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。