進化するソシエダ久保建英、昨季との違いは? 現地記者が指摘「あらゆる面が改善されている」

久保建英について語ったスペインのラジオ局「オンダ・マドリード」のミゲル・アンヘル・ギハロ記者【写真:高橋智行】
久保建英について語ったスペインのラジオ局「オンダ・マドリード」のミゲル・アンヘル・ギハロ記者【写真:高橋智行】

現地記者が見た久保の成長「計り知れないほど多くの経験を積めていることが大きい」

 久保に対する地元紙の評価は辛辣なものだったが、マドリードのチームを中心に取材しているスペインのラジオ局「オンダ・マドリード」のミゲル・アンヘル・ギハロ記者は試合後、別の見解を示した。

 まず「今日はヘタフェのインテンシティーが非常に高かったため、ソシエダの誰にとっても厳しいものとなった」と降格圏内で苦しむホームチームの闘志が上だったと分析。続けて、「ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)は前半、ボールをキープしチャンスを生み出そうとしたが、ヘタフェのハイプレスに手を焼いて正確性を欠き、思うようにプレーできなかった。チームがボールを持てなかったので当然、タケがプレーに関与する機会も大きく制限されていた。トップ下でアクティブに動き意欲的ではあったんだけどね」とし、「今日はタケが悪かったというより、チーム全体にとって良い日ではなかった」と選手個々のせいではなく、チーム全体の出来の悪さによる結果だと考えていた。

 またギハロ記者はヘタフェ時代と現在の久保の違いについて、「タケは日々成長を続けており、当時に比べあらゆる面が改善されていると思う。特に、計り知れないほど多くの経験を積めていることが大きいだろうね。彼はその経験をしっかりと生かしており、ヨーロッパリーグの大舞台でその成長した姿を披露してくれた。このままのペースで進化を遂げれば、いずれラ・レアルにより大きな喜びをもたらす選手になれるはずだ」と、順調な歩みを続けていることを高く評価した。

 ヘタフェ戦は中2日のタイトな日程に加え、35度超えの猛暑もあり、体力的に厳しく、さらにリーガ屈指のハードワークを売りにするチームとのタフな一戦であったことは間違いない。しかし、ソシエダがさらなる高みを目指し、目標としているUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手に入れるためには、EL直後のリーガで確実に勝ち点を積み重ねる必要がある。そんななか、サディクが離脱したことにより、さまざまなポジションに順応できるポリバレントな能力を有する久保は、今後もアルグアシル監督にとって貴重な戦力となるだろう。

ソシエダが乗り込んだヘタフェの本拠地コリセウム・アルフォンソ・ペレス【写真:高橋智行】
ソシエダが乗り込んだヘタフェの本拠地コリセウム・アルフォンソ・ペレス【写真:高橋智行】

 ソシエダはこの後、15日にELグループリーグ第2戦でオモニア(キプロス)と対戦する。この試合は中3日、さらにホームゲームのため移動がなく、前週のユナイテッド戦と比べると楽なスケジュールになっており、過密日程を戦う選手たちにとっては小さな救いとなりそうだ。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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