森保ジャパン、欧州遠征メンバー“サプライズ候補” 藤田、相馬らE-1組抜擢の可能性、欧州組の22歳“秘密兵器”にも注目

欧州組のタレントがひしめく2列目とサイド、国内組から割って入れる人材は?

 中盤は引き続き4-3-3(4-1-4-1)と4-2-3-1の両睨みとなるが、ボランチも2列目とサイドをこなす選手も候補が多く、6月シリーズのメンバーで埋まってしまう可能性もある。そこに風穴を開けるとしたらヴィッセル神戸で印象的な活躍を見せて、スペイン2部のウエスカでもスタメン起用されているMF橋本拳人、E-1選手権のメンバーで、伸び盛りであるパリ五輪世代のMF藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)あたりか。中盤でMF遠藤航(シュツットガルト)の重要なサブでもあったDF板倉滉(ボルシアMG)の怪我で、DF岩田智輝(横浜F・マリノス)のサプライズ招集もあり得る。

 ドイツやスペインとの対戦を考えればMF川辺駿(グラスホッパー)も面白い。ボックストゥボックスの動きが得意で、カウンターからFWに決定機をもたらす“一本のパス”もある。むしろ、なぜ6月シリーズに招集されなかったか不思議なぐらいなので、ここで招集されたら一気に序列を覆すポテンシャルはある。

 前目のポジションで、6月シリーズ未招集組ではMF三好康児(アントワープ)が食い込めるか注目だ。何しろ森保監督が今回の選考前の欧州視察で最初に観たのが、アントワープとロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズの試合だったようだ。2019年のコパ・アメリカでは右サイドで起用されてウルグアイから2得点を奪う活躍を見せたが、現在アントワープでは左ウイングがメインになっている。左利きで主力MF三笘薫(ブライトン)やMF南野拓実(ASモナコ)とも違う特長を持っており、所属クラブでレギュラーを担っているのは強みだ。

 やはり欧州組のタレントが多い2列目とサイドのポジションで、国内組から割って入れるとしたらE-1選手権でMVPに輝いたFW相馬勇紀(名古屋グランパス)か。所属チームではウイングバックとして激しいアップダウンを見せている。それも持ち味だが、前目のほうが決定的な仕事につなげられるのは当然で、名古屋と代表でのパフォーマンスを森保監督がどう観ているのか。

 左サイドでもう一人、カタールW杯の“秘密兵器”になり得るのがオーストリアのLASKリンツに所属する22歳FW中村敬斗だ。かつてU-20W杯にも出場した中村は欧州の地で苦闘しながらも経験を積み、今シーズンは左ウイングでレギュラーとして5得点4アシストをマーク。得意のドリブルだけでなく、逆サイドからのクロスに飛び込んで合わせるセンスも高まっており、左サイドの序列を一気に覆して滑り込む可能性もある。

 彼ら以上にマルチな可能性を秘めるのがMF旗手怜央(セルティック)で、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では王者レアル・マドリードに敗れはしたものの、強度の高い攻防でチーム一と言ってもいい存在感を示した。強烈な中距離砲も備えており、ドイツやスペインはもちろん、ボールを持つ側になる可能性が高いコスタリカとの試合でも、狭いライン間に入って相手ディフェンスをこじ開けるオプションとして最適かもしれない。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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