サイドではなく中央で起用した理由 浦和、“トップ下・大久保”がもたらした「機能性」

柏戦に出場した大久保智明【写真:Getty Images】
柏戦に出場した大久保智明【写真:Getty Images】

前半24分には絶妙な動きでシャルクのゴールをお膳立て

 浦和レッズは、9月10日に行われたJ1リーグ第29節柏レイソル戦で4-1の勝利を収めた。メンバー構成に制約のあるなかで、ほぼ初めての組み合わせと言えるような左サイドが機能して前半に2ゴールを導き出した。そこには、加入時のイメージからプレーの幅を大きく広げつつあるMF大久保智明の存在が際立った。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 浦和は8月のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントの戦いで日本代表DF酒井宏樹が負傷して離脱。そして8月末から今週にかけて複数選手が新型コロナウイルスに陽性反応を示したと発表され、メンバー構成に制約が生まれた。柏戦では左サイドバックにDF明本考浩が入り、幅を取るサイドハーフにFWアレックス・シャルクを起用。大久保はセカンドトップのような位置から中央でのプレーになった。

 大久保は中央大3年時の2019年夏に卒業後の浦和加入が内定し、約1年半は特別指定選手として浦和にも登録されたが、負傷も多くほぼ練習参加ができなかった。実際には昨季からチームに正式に加わっているが、その評判はドリブル突破が武器のウイングというものだった。しかし、リカルド・ロドリゲス監督のチームではサイドに張っているだけのプレーは許されず、また左右両サイドでのプレーも求められた。

 昨季はなかなかプレー機会を得られない時期もあるなど苦しんだが、その間に積み重ねたものはこのゲームで大いに発揮された。まずは前半7分、DF知念哲矢の縦パスを中盤の狭いエリアで受けると反転。FW松尾佑介にピッタリのスルーパスを通して先制点をアシストした。

 それだけでなく、「僕が引いた時に相手の右センターバックの選手がずっとつり出されてきたので、スペースが空いているなというイメージがあって、前半の早い段階でシャルク選手、明本選手と『あそこを狙っていこう』という話をしていた」と、相手を見ながら狙いどころを見つけていたという。

 それが実ったのが前半24分で、最終ラインに降りたMF岩尾憲がボールを持った時に大久保が相手を引き出すようにポジションを下げると、逆にボールは縦パスでMF伊藤敦樹へ。そして、伊藤がさらに縦パスを出した先には左サイドからシャルクが斜めに走り込んできた。大久保が空けたポジションに入り込んだシャルクが抜け出し、貴重な追加点を奪う形になった。まさに狙い通りの形で、大久保は「理想的なゴールだった」とほほ笑んだ。

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング