JリーガーがNHKディレクターに転身 失敗続きだった浦和での2年間、引退決意と浪人生活の舞台裏「超一流とやれたことが財産」
浦和での忘れられない思い出とは? NHK就職後も生きる経験「役に立っています」
浦和での忘れられない思い出を尋ねると「エジムンドは凄かった。日本はあんな選手がいるブラジルには、この先も絶対勝てないと思うほどの衝撃でした。エメルソンのスピードも尋常ではなく、前を向かれたらどうにもならなかった。超一流の人たちと一緒にやれたことが財産です」と柔和な顔つきで答えた。
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卒業後はNHKに就職。この仕事に就いてJリーガーであったことが、よりどころになることもあるのだろうか。
「選手の時は判断が遅かったり、どうしていいか分からなくなるなど、上手くいかなかった経験ばかりです。今、多様な番組を制作するうえでも考える力と判断力は不可欠。組織の中でどんな役割を求められているのか、その中でどう動いていけばいいのか。失敗続きだった浦和での2年間が、今になって役に立っています」
“青春の蹉跌”をジャンプ台にしたNHKの中堅ディレクターは、秀逸な番組作りに知恵を絞る毎日だ。
(文中敬称略)
※後編に続く
[プロフィール]
中川直樹(なかがわ・なおき)/1984年6月13日生まれ、東京都出身。浦和ユース―浦和。Jリーグ通算0試合0得点。2003年から浦和に2年間在籍し、契約満了を受けて大学進学を決意。1浪の末に早稲田大学商学部に入学し、卒業後は日本放送協会(NHK)に就職。現在はNHKの中堅ディレクターとして精力的に活動している。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。