ソシエダ久保の最適ポジションはFW?MF? 熾烈なレギュラー争いに直面…現地記者が推す「クボに合っている」起用法とは
現地記者が久保の起用法に“本音”「最前線に置くよりも…」
久保が今後もFWで起用される場合、レギュラーで出続けられるかについては「うーん、それは難しい質問だね……。対戦相手や試合展開次第になってくると思う。例えば相手がラインを非常に高く上げ、DFの背後に大きなスペースを残してプレーするチームの場合、チョーやサディクを起用するのがいいだろう。一方、相手が例えばヘタフェのように後ろに大きく引いて守備を固め、スペースを見つけるのが非常に難しいチームの場合、クボを先発起用して、そのパートナーにはサディク、チョー、セルロートと誰を組ませてもいいと思う」と戦術次第になると分析した。
しかしロマホ記者は本当のところ、久保はFWよりもMFのほうがいいと考えているようだ。「ポジション争いは本当に激しいが、最前線に置くよりもトップ下や中盤で起用し、ブライス・メンデスやシルバ、メリーノがやっているような役割を与えたほうがクボには合っていると思う。また右サイドの攻撃的な選手として起用するのもいいだろうね」と久保の特徴を考慮し、ポジションを変えるべきとの見解を示した。
しかし現状、久保が中盤でレギュラーになるのは非常に難しいだろう。なぜならマルティン・スビメンディ、ブライス・メンデス、ミケル・メリーノ、ダビド・シルバの4人がリーガ開幕からの4試合すべてに先発出場し、絶対的なレギュラーになっているからだ。このうちスビメンディとメンデスは全試合にフル出場、メリーノは336分出場とアルグアシル監督の信頼は非常に厚い。そのため久保が今後、MFとしてプレーする場合、アトレティコ戦で見られたように36歳のシルバのバックアップとして起用される可能性が高そうだ。一方、現在のチームで久保を右サイドのアタッカーに起用する場合、システムを変更する必要がある。
またロマホ記者は久保のリーガ開幕以降のパフォーマンスに関して、非常にポジティブな印象を持っていた。「予想していたよりもはるかに良かった」と短期間でチームにフィットしたことに驚きを見せ、「クボはボールを持つのが得意な選手で、チームメイトとうまく連係できる。ボールがない時は少し苦しんでいるように見えるが、仲間のためにプレーし、とても献身的なところを私はとても気に入っているよ」と高評価した。
続けて、「レアル・ソシエダでのクボを取り巻く環境、チームメイト、周囲の人たちが彼の成長を後押しし、今以上の能力を引き出してくれると思う。私はここまでのクボのパフォーマンスについて本当にポジティブに捉えている」と、さらなる成長を願いつつ締めくくった。
すべてのポジションにおいて熾烈なレギュラー争いに直面する久保が今後、FWとMFのどちらで起用されるのか現時点では分からない。しかし今週、UEFAヨーロッパリーグ(EL)が開幕し、ソシエダは週2試合のタイトな日程をこなしていくことになるため、ここまで主力選手の1人として起用されてきた久保に定位置確保に向けてアピールするチャンスは十分あるはずだ。
まず9月8日(現地時間)にアウェーで行われるELグループステージ初戦のマンチェスター・ユナイテッド戦、久保がどのポジションでプレーし、どんなパフォーマンスを披露してくれるのか、楽しみは尽きない。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。