元主審・家本政明氏が「鹿島×浦和」ジャッジ分析 気になった点を指摘…選手との間に生まれた“ギャップ”とは?
【専門家の目|家本政明】鹿島×浦和戦、レフェリーの「ポジショニング」について言及
スポーツチャンネル「DAZN」の検証番組「Jリーグ ジャッジリプレイ」でも活躍する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、9月3日のJ1リーグ第28節の鹿島アントラーズ対浦和レッズの一戦(2-2)で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催。「FOOTBALL ZONE」の取材に応じ、この試合の主審を務めた笠原寛貴氏のジャッジについて印象を語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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Jリーグのオリジナル10の2クラブであり、これまで数多くのタイトルも獲得している日本を代表する両クラブの対戦について家本氏は、「過去の試合を見ても、鹿島さんと浦和さんの試合はいつも激しくなり、ヒートアップすることが多かったと個人的には記憶しています」と語り、「昨日の試合も球際が激しくて、両チームの選手が熱くなるシーンがありました。得点も2-2で、90分間ずっとリラックスできない非常にタフで難しい試合でした」と、試合を振り返った。
そして、「そのなかで『ではレフェリーはどうだったか?』という話でいうと、世間を騒がすような大きな誤審と言える事象はなかったと、個人的には感じます」と語る一方、笠原主審の動きで気になったこともあったようだ。
「ポジショニングのところが、ちょっと気になりました。それによって、判定が安定しなかったので、妥当な判定であっても、やや選手との関係性、信頼感、納得感にギャップが生まれているようなシーンが散見していました。特に浦和さんは、レフェリーに対して過剰なジェスチャーであったり、選手が詰め寄る行為が見受けられたりしたことが残念でした」と分析した。
選手たちは「それがファウルだったら、さっきのもファウルでしょ」「それで吹かないなら、どうしてさっきのは吹いたの?」という基準のブレについて非常に敏感だと指摘する家本氏。そうした反応が見えた際、「判定の基準以上に、判定の一貫性に安定感がないと、選手たちが心情的に落ち着いてゲームやプレーに集中するのが難しくなります」と続ける。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。