今季ドイツで1得点3アシストの21歳MFアペルカンプ真大 デュッセルドルフ監督が「上手い」と評価する強みとは?
アペルカンプも自覚する自身の強み「それをもっともっと活かしたい」
アペルカンプはパスを受けるだけではなく、もらったあとのプレー判断にも優れている。どこでプレーを落ち着けて、どこでゴールを強襲するのか。単独突破で状況打開する点においてはまだ改善の余地はあるとはいえ、ゴールへ直結する動きという点でも今季ここまで7試合で1得点3アシストと結果は残している。
特に3アシストはチームトップ。トップ下だけではなく、左右のハーフで起用されてもタイミング良くハーフスペースやトップ下のスペースへ顔を出し、ゴール方向への攻撃を発動させることができる。味方がボールを収めたら守備ライン裏へ抜け出す動きを見せるし、そうした動きを連続してやり続けられるところが魅力だ。
本人もそこには自信を持っている。パーダーボルン戦後には次のようにコメントしていた。
「そうですね、ポジション的に左だけど、左だけじゃなくてもっと真ん中に入っていくポジショニングがやっぱり僕の特徴が一番出ると思うので、それをもっともっと活かしたいと思います」
この試合では後半31分から右サイドハーフとして途中出場すると、精力的にボールを引き出そうと多様な動きを見せていく。終盤は1点を追う展開でロングボールが増えたことも影響し、効果的にチームの攻撃にリズムと変化をもたらすことは残念ながらできなかった。ただ、ここからデュッセルドルフが昇格へ向けて勝ち点を積み重ね、上位に食い付いていくためには間違いなくアペルカンプの活躍が必要だ。
「1部昇格するためには前期からコンスタントに勝ち点3を取っていかないといけない。トップ5で折り返せたらいけると思う。フォルトゥナというクラブは1部へ行きたいクラブだし、そのためのプレーを見せられるチームだし、見せないといけないチーム。ここはメディアからの注目は大きいから、負けるとやっぱりすごく叩かれる。でもそれもみんな分かっていること。それを気にせずやっていきたい」
昨季終盤に話を聞いた時にはそんなふうに語ってくれていた。生え抜き選手として自覚も責任感も強い。チームをまた上昇気流に乗せるパフォーマンスを期待したい。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。