元主審・家本政明氏が選ぶ「天才」…2人の日本人選手とは? “国宝級”から受けた「なぜ」の衝撃「思考を超越した世界の住人」
【インタビュー】「ボールは友達」のイメージとぴったり合致するのが小野伸二選手
9月3日のJ1リーグ第28節の鹿島アントラーズ対浦和レッズ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。主審としてJリーグ歴代最多516試合担当という経歴を持つ家本氏が「天才」として2人の日本人プレーヤーの名前を挙げ、「思考を超越した世界の住人」と絶賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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「天才」にもいろいろな定義があるかと思いますが、僕が考える「天才」は異次元の能力、芸術性と創造性が相まった美しさ、人を魅了する力などが含まれ、努力したり考えてできることではないものが自然とできてしまうこと。そんな天才に近いのが、「天才肌」というイメージです。
その一方で「凄い」と感じる選手は多く、例えば中田英寿さん(元日本代表/MF)、中村憲剛さん(元日本代表/MF)、佐藤寿人さん(元日本代表/FW)、中村俊輔選手(現・横浜FC/MF)、遠藤保仁選手(現・ジュビロ磐田/MF)など、挙げたらキリがないかもしれません。
そうしたなかで、「天才」という言葉で真っ先に思い浮かぶ選手は、小野伸二選手(現・北海道コンサドーレ札幌/MF)です。
清商(清水商業高校)の時や日本代表に選ばれた頃の小野選手を見て、ただただ驚きました。「これで高校生!?」という驚きですよね。もちろん技術的に素晴らしいですし、ベースとなる一定水準のフィジカル能力も備えたうえで、プレーから美しさやエレガントさを感じました。
人気漫画「キャプテン翼」に「ボールは友達」という言葉がありますが、そのイメージとぴったり合致するのが小野選手。「なぜそんなところが見えてるんだ」という場面があったかと思えば、トラップ・パス・ターンなどのタイミングも独特で、キックもスピード・コース・球種なども含めた球質がどこか違う。言葉では形容しがたい何かがそこにある。ボールを扱う姿を見るだけで「天才」と感じましたね。
「ドラゴン」の相性で親しまれたストライカー、久保竜彦さん(元日本代表/FW)も「天才」の部類に入るかと思います。
感性や美しさ、そして観る者に与えるインパクトという意味ではずば抜けたFWでした。「なぜそこからゴールが生まれるのか」という衝撃を受けましたね。パワフルなキックやヘディングだけでなく、絶妙なタッチのエレガントなプレーもあり、剛柔を兼ね備えた希代のストライカー。彼のゴールやプレーには芸術性があり、真似しようと思って真似できる次元ではないと感じました。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。