恐怖のレフティーや残留争いのチームを救うキーマンも 今季J1リーグ“当たり助っ人”7選
【識者コラム】浦和モーベルグは時間を重ねるにつれてロドリゲス監督の戦術にフィット
J1リーグの2022年シーズンも終盤に差し掛かってきた。ここまでの評価に基づき“当たり助っ人”7人を厳選した。なお、今回は新外国人かどうかを問わず、2シーズン目以上でもさらなるブレイクを見せている選手も選考対象としている。
■ダヴィド・モーベルグ(浦和/MF/日本1年目/今季16試合8得点)
浦和の10番にふさわしいアタッカーだ。定位置は右サイドだが、左足で自在にボールを操ってバイタルエリアの危険なところに侵入していく。カットインからの左足シュートは来日当初から強力だった。しかし、逆にそれ以外の選択肢があまり見られず、筆者も疑問を覚えていたのは確かだ。
それが試合と時間を重ねるにつれて、リカルド・ロドリゲス監督の戦術や仲間とのビジョンも噛み合ってきたのか、オフ・ザ・ボールでも多彩な動きを見せ始め、縦突破から右足のクロスも披露するようになった。ACLの決勝ラウンドでも大きな役割を果たしたことは記憶に新しい。
衝撃という意味で今回はモーベルグを取り上げたが、浦和では守備の要、ビルドアップの主軸として多大な存在感を発揮するDFアレクサンダー・ショルツも「当たり」助っ人だろう。とにかくラーメンの「無敵家」を新たなスポンサーに迎えるきっかけを作ったキャスパー・ユンカーを含め、浦和の助っ人たちがオンだけでなくオフでも日本を満喫してくれているのは喜ばしい。
■チアゴ・サンタナ(清水/FW/日本2年目/今季20試合10得点)
2年目だが、満を辞しての本格ブレイクと言うべきか。昨年のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いていた時から優良助っ人の資質は示していた。監督交代も経験したなかで13得点は立派だが、今年は序盤戦を怪我で棒に振りながら、20試合で10得点。ただ、数字以上に前線の大黒柱としての存在感がある。
2トップの相棒を選ばないのも持ち味で、MF鈴木唯人、MF神谷雄太、FWカルリーニョス・ジュニオ、FW北川航也など、誰と組んでもパフォーマンスに波がない。途中就任したゼ・リカルド 監督の下、残留争いからようやく抜け出した清水ではあるが、現在Jリーグで最強助っ人の1人であることは疑いない。
■ドッジ(柏/MF/日本2年目/今季22試合1得点)
中盤でボールを奪い、素早く正確なファーストパスからショートカウンターの起点となる。ブラジルでも最名門の1つであるフルミネンセでプレーしていただけあり、昨年の来日前から期待は高かった。しかしながら、夏に怪我で戦列を離れて、復帰したのが残留の懸かる終盤戦だった。一部で退団の噂もあったが、残して大正解だろう。
中盤は主に攻撃センスに優れるMFマテウス ・サヴィオ、守備強度の高いMF椎橋慧也などと構成されるが、ドッジは攻守両面で前とうしろをつなぐ役割を担っており、レイソルの中盤に欠かせないキーマンだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。