久保建英のCF起用、森保ジャパン“新オプション”として有効? レアル・ソシエダで躍動、日本代表での生かし方を考察
1トップは考えにくいが、2トップであればオプションとして一考の余地あり
ここ最近は日本代表のFW事情もあり、FW浅野拓磨(ボーフム)やFW古橋亨梧、FW前田大然(ともにセルティック)のようにスピードがあり、裏抜けを狙うタイプを起用している。高い位置でボールを奪ってのショートカウンターを第一の目標としながら、大迫とは違った方法で相手ディフェンスに裏のリスクを意識させて、結果的に中盤の選手が前向きにボールを持てる状況を生み出そうとしている。
そうした基本戦術において久保は4-2-3-1ならトップ下、4-3-3なら左利きを内向きに生かせる右ウイングか6月のガーナ戦でテストされた右インサイドハーフが既定路線になるはずだ。後者もMF柴崎岳(レガネス)のような本職ボランチの選手とインサイドハーフのコンビを組むことで、攻撃では久保が前目に出て、柴崎がアンカーのMF遠藤航(シュツットガルト)とともにバランスを取ることで、久保は実質的なトップ下として関わりやすくなる。
つまり所属クラブで使われているポジションを日本代表にそのまま当てはめて考えるのは危険ということだ。ただし、それはソシエダで経験していることは代表チームに還元されないということではない。特にボールを直接触らなくても、周りの選手の決定的なプレーを引き出したり、相手を見ながら仕掛けやフィニッシュなど、プレー選択を的確に判断していく。
そうした意識やセンスは新天地で着実にアップしており、前からの守備でも貢献度は高い。やはりD・シルバの守備範囲が限られる分、FWの久保が状況に応じて中盤の守備にも参加するなど、良い意味で自己主張するだけのプレーヤーではなくなってきている。そして前目でボールを持った時の決定的な仕事という意味でも、得点に責任を持つポジションでの経験や感覚は大いに生かされるはずだ。
また点を取りに行かなければいけない時間帯で、ボランチの1人にMF鎌田大地(フランクフルト)やMF原口元気(FCウニオン・ベルリン)など攻撃的なMFが配置されたら、久保がより高い位置で、FW上田綺世(サークル・ブルージュ)のようなFWと2トップを組むというのはオプションになるかもしれない。森保監督の基本スタンスから1トップは考えにくいが、オプションとして2トップということなら、ソシエダでのプレーをほぼそのまま生かすということも可能だろう。
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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。