バットマンから「キャプテン」へ 宮本恒靖の再ブランディングについて
エージェント業が選手マネジメントの一部だからこそ、移籍や契約に関わる交渉を外部に委託すべきではないというのが私の持論です。なぜならマネジメントとエージェントの両面で話を進めなければ、思惑の違いやあつれきが生まれます。隅々まで目が行き届かなければ、歩調を合わせることは難しいのです。選手のブランドイメージや価値を守り、かつ高めていくためには、マネジメントとエージェントが両輪となって進んでいくことが理想と言えるでしょう。 例えば、私が携わる宮本恒靖は、それらがうまくかみ合ったと感じています。海外移籍を実現し、メディアビジネスやメディアプランニングでもさまざまな展開ができました。現役時代からスポーツメーカーとも良好な関係を築き、現在でもフットサル事業等で支援を受けています。マーチャンダイジングでも、カレンダーをはじめ多くのアイテムをそろえることができました。サッカー選手として考えられるマネジメントビジネスのほとんどを、宮本を通して成し遂げることができました。 彼は、私にとって独立後最初のクライアントでした。04年にライセンスを取得した私は、宮本が今後の方向性を模索していると聞きつけ、05年から契約を結ぶことになりました。 しかし当時の私は、ビジネスマン時代に高原直泰選手のボカ・ジュニアーズへの移籍に携わった以外に大きな経験がなく、代理人としてもマネジメント会社としても実績に乏しかった。宮本としても私と契約を結ぶにはリスクがあったと思います。後に私のプレゼンが契約の決め手となったことを知りましたが、新しいことへの挑戦を信条とする彼の生き方が、その決断によく表れていると思います。