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マンチェスター・Uの現在地 10人の戦いでマンチェスター・Cを押し返し、復活の兆しが見えたレッド・デビルズ
リーグ10位に沈むも、余裕を見せるファン・ハール監督
モイーズ2200万ポンド(約39億6000万円)。ファン・ハール1億5200万ポンド(約273億6000万円)。
もちろん、前シーズン2位マンチェスター・Cに11ポイント差をつけてぶっちぎり優勝を果たしたチームを引き渡されたモイーズと、7位に終わり、19年振りに欧州戦出場権を逸したチームを引き継いだファン・ハールでは事情が違う。しかし、両者が監督に就任して移籍市場につぎ込んだ補強費の差額は、日本円にして234億円にも及ぶ。
そういった、まさに金に糸目をつけない補強をしておいて、リーグ戦を10試合消化して、ファン・ハール新監督の戦績は3勝3敗4分の勝ち点13。順位もとうとう二桁の10位に沈んだ。同時点のモイーズの戦績が5勝3敗2分の勝ち点17だから、解任されたスコットランド人よりさらに4ポイントも少ない。
ところが、マンチェスター・ダービーを終えた直後の会見に現れたファン・ハールの表情にはまだまだ余裕が見られた。
その理由としては、まず、負けたとはいえ0-1の惜敗。それもセンターバックのスモーリングが前半39分の時点で累積退場となり、10人の戦いを51分間も強いられたという、明確な敗因があったことがひとつ。
ふたつ目の理由は、後半のパフォーマンスが良かったこと。とくに1点を奪われてから、開き直って攻めに転じたユナイテッドの猛攻にはかつての迫力が宿り、数的不利をものともせずにマンチェスター・Cを追いつめた。終ってみればポゼッションもシティ52%に対しユナイテッド48%となり、ほぼ互角の数字に持ち込んだ。
しかもあの累積退場はスモーリングの完全なボーンヘッドで、監督のファン・ハールには手の施しようがなかった。
前半31分のフリーキックで、シティ陣営のペナルティ・エリアに上がっていたスモーリングは、引き上げる途中でジョー・ハートのゴールキックを妨害し、無意味な1枚目のイエローを受け取った。
そして同38分、左サイドを突破したイングランド代表の同僚MFミルナーに、完全に遅れたタイミングで猛然とスライディング・タックル。まったくもって文句のつけようがないイエローカードで、誰もが“たった今もらったばかりのイエローを忘れていたのか”とあきれ果てた。
7分間で2枚のイエローをもらったスモーリングの累積退場は、試合後の会見でファン・ハールに「普通は1枚目をもらえば、2枚目を意識して自重するはず。確かに馬鹿げた退場だった」と沈痛な表情で語らせ、完璧な敗戦のいい訳を与えた。
しかし、昨季はアウェイで1-4、そしてホームでも0-3という大差で、2戦とも完膚無きまでに叩きのめされたマンチェスター・Cとのローカル・ダービーを、10人で戦った末に見せ場も作った0-1惜敗としたのは、今後の自信につながる内容といってもいいだろう。